勉強に効く4つの習慣|エンドルフィンを味方にした灘・東大式リラックス術

GAKU
灘高・東大大学院卒。塾も予備校も使わず、独学だけで合格した。

その勉強法を、そのまま書いている。
再現性にこだわった情報だけを出す。

灘高受験・東大受験・中学受験・きのくに。
どれも一次情報しか書かない。

父が床に仰向けに寝っ転がって、手足を天井に向けてブラブラさせている。

初めて見たとき、何をしているのかわからなかった。聞くと、図書館で借りた本に載っていた健康習慣だという。父はこういう人だった。本で面白い習慣を見つけると、すぐに取り入れる。ブラブラ運動、アマニ油の摂取、食事でご飯を最後に食べる血糖値対策。帰省するたびに、何か新しい習慣が加わっている。そして帰省するたびに、前よりも生き生きして見える。

習慣が人をつくる。そのことを、父の背中から学んだ。

この記事では、脳内物質エンドルフィンと、それを引き出す4つの習慣を紹介する。科学的な根拠とともに、私が受験期から実践してきた一次情報を添えて書く。


目次

エンドルフィンとは何か

エンドルフィンは「内因性モルヒネ」を意味する言葉だ。endogenous(内因性)とmorphine(モルヒネ)を組み合わせた造語で、脳内で生成される鎮痛・多幸物質として知られている。

分泌されるのは主に2つの状況だ。ひとつは強いストレスや痛みを受けたとき——心身を守るために分泌され、苦痛を和らげる。もうひとつはリラックスしたとき——アルファ波の発生とともに分泌され、穏やかな幸福感をもたらす。

エンドルフィンが分泌されると、幸福感が高まり、注意力・集中力・記憶力・創造性が向上し、免疫力も上がる。勉強との相性が極めて高い物質だ。そしてこれは、特別な訓練なしに、日常の習慣の中で引き出せる。


習慣1:体を動かす

高校受験の時期、私は毎日午後に1時間ほど散歩をしていた。

ルートはいつも田んぼ道だ。のどかな田舎の景色の中を、特に目的もなく歩く。道端に見慣れない草花を見つければ「これは何だろう」と考える。野鳥の声が聞こえれば「あの鳥が増えたな、あの鳥がいなくなったな」と観察する。頭の中は勉強から離れて、自然のことで満たされていく。

不思議なことに、歩いているうちに、机の上では解けなかった数学や物理の問題がふと解けることがあった。こんなところで、と思うほど突然閃く。脳がリフレッシュされて、固まっていた思考がほぐれるからだろう。

大学受験の時期は、散歩がサイクリングに変わった。片道20km、往復40〜50kmを毎日のように走った。自分だけのルールがあった。走った道を帰宅後に地図へ赤鉛筆でなぞっていく。1年かけて、隣接市町村の山道まで含めたすべての道を走破した。地図が赤で埋まっていくのが、勉強の参考書を塗りつぶしていく感覚と重なった。達成感と爽快感が積み重なって、勉強のモチベーションも一緒に上がっていった。

運動はエンドルフィンだけでなく、ドーパミン・セロトニン・BDNFも同時に分泌させる。特に15〜30分の有酸素運動が効果的だとされている。難しく考えなくていい。散歩でいい。毎日続けることが大切だ。


習慣2:チョコレートを食べる

小学生の頃から、勉強のお供はチョコレートだった。

母が買い物のたびに「何か欲しいものある?」と聞いてくる。「ない」と答えてから、「チョコがあれば」と付け足す。それが毎回繰り返された。家族全員がヘビーユーザーだった。父はカカオ95%という常人には苦すぎる代物を好んで食べ、母と私は甘い普通のチョコを食べた。

お気に入りは円錐台形の小さなチョコだった。個包装でくるくると包まれていて、イチゴ味なら上部に赤いものが貼ってある。一口サイズで、手が止まらなくなる。受験期には「チョコ1粒で30分全力集中」というルールを自分で決めた。食べる前に問題を解き始め、1粒を口に入れてからの30分は本気を出す。チョコという小さなご褒美が、疲れた頭を動かしてくれた。

試験本番には15粒ほど持参した。休憩時間に3〜4粒ずつ食べながら、次の科目に備えた。

チョコレートに含まれるカカオポリフェノールはエンドルフィンの分泌を促すとされている。また糖質による血糖値の上昇が脳へのエネルギー補給にもなる。ただし糖質の摂りすぎは血糖値の急激な乱高下を招き、集中力を逆に下げる原因にもなる。今の私は糖質を抑えた食生活をしているので、チョコを食べるなら父のようにカカオ含有率の高いものを少量がいいと思っている。


習慣3:音楽と自然音でリラックスする

私の家では、早朝からクラシック音楽が流れていた。

モーツァルトやショパンが多かった。穏やかな曲が多い。家にCDが並んでいて、それをかけ流しにするのが朝の習慣だった。エアコンはほとんど使わず、窓を開けて外の空気を入れていた。

そこに混じってくるのが、鳥の声と虫の声だ。

特に好きだったのはイソヒヨドリの声だ。澄んでいて、落ち着いた声で鳴く。近くに巣を作っていて、幼鳥がギャーギャー鳴いているのも面白かった。コオロギの声も好きだった。日本にはコオロギだけで何十種類もいて、種類によって鳴き声が違う。秋の夜、窓の外から聞こえてくる虫の声の中で勉強していると、不思議と頭が落ち着いた。

科学的には、自然音はアルファ波を誘発し、エンドルフィンの分泌を促すとされている。川のせせらぎ、風の音、鳥の声——これらが「ストレス軽減・集中力向上」に効果があることは複数の研究で示されている。都市部で暮らしていて自然音が手に入らない場合は、自然音の録音をBGMとして使うだけでも一定の効果があるとされている。

勉強環境を整えるとき、音のことを後回しにしがちだ。しかし耳から入る情報は、集中状態の質を大きく左右する。良い音に包まれた空間は、それだけで脳を落ち着かせてくれる。


習慣4:瞑想・静けさの中に入る

仏教系の中学校に通っていたので、週1回の宗教の授業で瞑想をする機会があった。

正直なところ、当時はよくわからなかった。目を閉じて呼吸を整えようとすると、雑念ばかりが浮かんでくる。「次の授業は何だっけ」「あの問題どうするんだろう」。瞑想どころではなかった。

大学時代、改めて瞑想に取り組んだ。そのとき初めて、少しわかった気がした。雑念を消そうとするのではなく、浮かんできた雑念をただ眺めて、また呼吸に戻る。その繰り返しだ。完全に静かになることが目的ではなく、「今ここに意識を戻す」練習だと理解した。

瞑想中、脳はアルファ波を多く出す。これがエンドルフィンの分泌と関わっている。さらに定期的な瞑想の実践は、前頭前野の灰白質を増加させ、注意の制御・感情の調整・意思決定の質を高めることが研究で示されている。受験生にとっても、これは直接役立つ能力だ。

難しく考えなくていい。朝5分、目を閉じて呼吸だけに意識を向ける。それだけでいい。父は今もこの習慣を続けていて、帰省するたびに表情が穏やかになっている。


最後に——習慣は静かに積み上がる

4つの習慣を並べると、どれも地味に見える。走る、チョコを食べる、音楽を流す、目を閉じる。特別なことは何もない。

しかし習慣とは、そういうものだ。一日では何も変わらない。一ヶ月続けると、少し変わる。一年続けると、別人になる。

父が毎年少しずつ生き生きしていくのを見てきた。派手な変化ではない。ただ、確実に積み上がっている。その姿が、習慣の力を私に教えてくれた。

脳内物質は操作できない。しかし、分泌されやすい環境は自分で作れる。その環境を作る道具が、日常の習慣だ。

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この記事を書いた人

灘高・東大大学院。塾も予備校も使わず、独学だけで合格した。
数学オリンピック2回受賞。

灘受験・中学受験・きのくに。
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