【子育て】子どもの頃、やらなくて後悔している6つのこと|東大生データと息子視点で語る

後悔している。
灘高に入り、東大に進んだ。それでも、やっておけばよかったと今でも思うことがある。
この記事では、私が子どもの頃にやらなかったことを正直に書く。東大生のデータと照らし合わせると、興味深い共通点が見えてくる。
東大生の習い事データ:後悔の前に知っておくべき事実
まず、データから入る。
プレジデントムックが現役東大生174人を調査した結果、小学生時代の習い事1位はスイミングで、実に60%の東大生が水泳を習っていた。一般の小学生の水泳経験率31%と比べると、約2倍の数字だ。2位が英語・英会話、3位がピアノ、4位が書道と続く。
興味深いのは、これらが「勉強系」ではなく「体・感覚・芸術系」であることだ。東大に入る子どもたちは、幼少期から受験勉強をしていたわけではなく、体や感覚を鍛える経験を積んでいた。
そして私はこのランキングの上位4つのうち、3つをやっていない。
① 水泳——最も後悔していること
一番後悔しているのが水泳だ。今でも泳げない。
沢登りをしていても、背の届かない淵や滝壺のある滝を登攀するとき、緊張で指が震える。せめて川を泳げたら、と思う場面は何度もあった。
東大生が水泳から得たこととして「自分に足りないことを徹底的に練習すること」「いい意味での競争心」「忍耐力と自己分析力」を挙げている。これらは受験勉強と地続きの力だ。水泳が「泳ぐ技術」だけでなく「反復と自己分析の習慣」を育てる場だったことがわかる。
脳科学的に見ても、水泳は全身の筋肉を使いながら呼吸をコントロールする複合運動で、脳への血流を増加させBDNFの分泌を促すことが研究で示されている。認知機能の向上と最も相関する運動の一つだ。
早いうちに水に慣れさせることをすすめる。登山や沢登りを続けている私が言うと、説得力があると思っている。
② 英語——中学から始めて絶望した話
英語を始めたのは中学からだ。最初のテストは悲惨だった。泣きそうになった。
中学受験組は(こっそり)英語も勉強していたことが発覚した。完全に出遅れたスタートだった。猛烈に勉強してなんとか自信をつけた。でも大学に入ると、今度は話せないことに気づいて再び絶望した。
東大生の習い事ランキングで英語が2位に入っているのは偶然ではない。言語習得には臨界期(感受性期)があり、幼少期ほど音声の模倣能力が高いことが言語習得研究で示されている。聴覚の感受性期は一般的に12歳頃までとされている。
話す英語と読む英語は別物だ。読む・書く英語は中学から始めても十分間に合う——私がその証拠だ。でも話す英語、聴く英語は早い方がいい。幼少期の「英語の音」への接触は、後天的には取り戻せない部分がある。
③ 書道——自分の名前が格好よく書けない
東大生ランキングで書道が4位に入っているのを見て、合点がいった。
字が汚い。自分の名前すら格好よく書けない。大人になってからつくづく思う。
習い事に行かなくても、「人から綺麗と言われる程度」にはなりたかった。それだけのことなのに、今となっては難しい。書道は小学校で毎週授業があったが、それだけでは全く足りなかった。
書道には単なる「字を書く技術」以上の効果がある。正座して姿勢を整え、呼吸を整え、筆を動かす——この一連の動作が集中力と自制心を育てることが教育学的な研究で示されている。禅的な精神鍛錬と相通じるものがある。
④ 囲碁——大局観を養うのに最適な遊び
将棋は覚えた。囲碁は覚えなかった。
灘高では将棋部より囲碁部の方が活発だった。それを見て、小学生のうちに囲碁を覚えておけばよかったと後悔した。
将棋が「局所戦の読み」を鍛えるなら、囲碁は「全体の大局観」を鍛える。盤全体を見渡し、今どこに打つことが最終的な勝利につながるかを考える。この思考パターンは、研究や経営の現場で「先を見通す力」として活きてくる。
認知科学の研究では、囲碁・将棋などの戦略的なボードゲームが前頭前野の発達を促し、計画力・抑制力・柔軟な思考力を高めることが示されている。どちらか一方でも小学校低学年から始めておくことを強くすすめる。
⑤ パソコン——灘高でプログラミングに完全に置いていかれた
中学から本格的にパソコンの授業が始まったが、毎回の授業がパソコン嫌いを加速させた。エラーばかり出てストレスがたまった。パソコンを見るだけで頭痛がした。
高校に入ってプログラミングの授業が始まった。灘高の同級生たちがあまりに優秀すぎて、完全に意欲を失った。もっと早く始めていればと痛感した。
今でもパソコン関連は苦手だ。これは正直に言える。
2026年現在、プログラミング思考は読み書きそろばんと並ぶ基礎スキルと位置づけられている。小学校でも必修化された。「論理的に考えてアウトプットする」という構造は、数学の問題解法や作文と同じ認知プロセスを使う。早期からの接触が、苦手意識を持たない一番の予防策だ。
⑥ 異世代との交流——タテのつながりを持つ機会
荒れた地域で育ったため、タテのつながりは恐怖と服従のセットだった。先輩の命令は二つ返事で聞かなければならない。従えなければ殴られる。挨拶代わりに殴られることもあった。
だから同世代だけで遊ぶことを選んだ。ヨコのつながりだけで生きた。
今振り返ると、それは大きな損失だった。
暴力ではなく知恵を受け継ぐ、健全なタテのつながりがあれば、どれほど違っただろう。父から登山を教わったように、年上から何かを受け継ぐ経験が、子どもの世界を広げる。
発達心理学では「メンタリング」の効果が注目されている。年上の人間との良質な関係が、子どもの自己効力感・目標設定・社会適応力を高めることが研究で示されている。スポーツクラブ、地域のボランティア活動、習い事——異世代と交わる場を意識的に作ることをすすめる。
まとめ:一点集中でも、多様性でも、どちらでもいい
後悔を6つ並べてみたが、これを読んで「全部やらせなければ」と焦る必要はない。
灘高では運動も勉強もできる人間がいることに驚いた。東大では遊びも勉強もバイトも全力の人間がいることに驚いた。私はデキる人間ではなかったから、一つのことにしか集中できなかった。
山に全エネルギーを注ぎ込んだ。誰よりも多く登った。その結果、根気だけは誰にも負けないと言えるものが生まれた。
多様な能力を組み合わせてもいい。たった一つの能力をとことん極めてもいい。どちらの道にも、本物の人生が待っている。
ただ、水泳だけはやっておけばよかった。今でもそう思っている。





コメント