高校数学に関する雑記 〜演習の大切さ〜
読者様よりご寄稿いただきました。
高校数学に関する雑記
苦手意識を持ちつつある人に向けて書いてみます。数学に限らず物理分野でも同じことですが、「パターンさえ覚えてしまえば楽勝だ」と言い切れる人は、天性の才能を持つ人だろうと思います。しかし、そうでないにしても決して投げやりにはならず、目の前の壁を乗り越え、今よりも上のステージに立てるよう頑張りましょう。もしかしたら目の前の壁が最後の壁であり、その最後の壁を乗り越えた後には「パターンさえ覚えてしまえば楽勝だった」と言えるようになっているのかもしれませんよ。
和田秀樹氏の本:難関大学も恐くない 受験は要領―たとえば、数学は解かずに解答を暗記せよ (PHP文庫)
我が子の例で恐縮ですが、中学生の頃は、英語 ≒ 数学 だったと記憶しています。しかし、高校生になった今は、英語>数学のようです。父親である私は、何十年も高校数学から離れているので解法そのものを教えるスキルはありませんが、仮にスキルがあったとしても、そのことにあまり意味はないでしょう。受験生自身が何かを感じ取って、自分で克服すべき問題だと思うのです。
プロの手法を参考に
ガク氏のよくまとまったエッセイがありましたので、ここに紹介させていただきます。
【灘卒東大生が厳選】高校数学のおすすめ問題集を紹介|自宅学習、独学で難関大学受験
https://nadatodai.com/hs-math-tokyos-consultation/
東大理系の受験生に限らず、共通テスト高得点を狙っていきたい人向けに、次のプランも紹介されております。私が語れることはあまりありませんが、「灘-東大」以外を目指す受験生で、大学によっては共通テストの配点が高いところがあるでしょうから、そういう観点で眺めてみても良いでしょう。
- 黄チャート
- プレ1対1対応シリーズ
- 共通テスト・穴埋め対策必勝マニュアル
根本的に大事だと思うこと~やり遂げる力~
校内テストの結果を見てつくづく感じることですが、世の中の役に立つイメージが難しい高校数学の勉強を、高校のライバルたちはよく頑張るなと感心してしまいます。しかしそんな悠長なことを言ってはいられません。「推薦入試に直結する校内テスト」であろうと「一発勝負の一般入試」であろうと、それ相応の対策をして勝ち抜いていくのが受験というものです。リスク回避の観点からも、圧倒的な学力を手に入れつつ、早い段階では複数の受験オプションを考えておきたいところです。言い換えれば、目先の校内模試でも気を抜いてはいけないということですし、その手のイベントを利用しつつ長期的には遥か彼方の高みに到達してほしいと願っています。
努力して見えてくるもの
https://nadatodai.com/effort-new-world/
やり遂げる力を磨く
https://nadatodai.com/contribution-2202/
英検対策の考え方から学ぶ
英検対策の記事では、英検準2級までの対策に1年9ヶ月、英検2級の対策に1年3ヶ月、英検準1級の対策に2年かかるとしています。英検2級(センター試験相当)だけ考えても、過去問30回分を想定しています。ガク氏もいろいろな英語教材を紹介していますが、両者で共通しているのは、テキストの数量が半端ではないということでしょうか。圧倒的な量の英語教材を読んできちんと理解し記憶していくことの大切さが根底にあると考えられます。
【寄稿】英検対策|試験範囲を網羅するための考え方 (1) 追記あり
ちなみに、チャート式(数IAIIBの合計)の問題数が2000題程度ありますし、共通テスト過去問研究 数学I・A/II・B (2022年版共通テスト赤本シリーズ) では32回分の試験が収録されています。まずまずの量だと思います。これだけでも共通テストの範囲は十分に網羅していると思われます。
自動車運転を例に(運転理論→仮免許取得→本免許取得→自家用車で運転)
次は、自動車運転の例で書いてみます。タイトルの通りですが、運転理論を学び(A)、教習所内で運転を教わり(仮免許を取得し)(B)、公道で練習し(本免許を取得し)(C)、晴れて自家用車で運転(D)ができるようになります。
そっくりそのまま数学の学習にあてはまるはずもありませんが、数学チャート式を例にして説明してみます。「例題」で解法パターンを理解し記憶し(A)、そっくり問題の「練習」で最初の力試し(B)、応用問題としての「EXERCISES」(C)、総合演習(C’)と続きます。さて「自家用車で運転(D)」に相当するものは何でしょうか?
「自家用車で運転(D)」=「1対1対応シリーズ」と考える。〜ペーパードライバーからの卒業〜
私は毎日通勤で車を使っています。年間250日程度、同じ道を通っていることになります。正直な話、一回でも通れば、道は覚えてしまうものです。自宅から始まって、芋づる式に、景色が思い出されていきますね。これは「暗記分野」の記憶術に使えそうな話です。一方、数学の場合はそのような例え話にはなりません。もっともっと奥が深いと感じます。
私は「止まれ」の標識のたびに「絶対停止、警察官が隠れているぞ!」と軽く独り言を発し、スピードを緩め停止をします。また、細い道で黄色い帽子の小学1年生が歩いている時には、「飛び出してくるなよ」と、これまた独り言を発してスピードを緩めることもありますし、対向車とのすれ違い時には、淡々と左に幅を寄せつつ慎重に車を走らせます。小学校に近い交差点では、毎朝同じ時刻に警察官が交通指導を行い、その時間帯に私の車が通ります。その交差点で右折をする時、対向車が優先なので、私は交差点中央の適切な位置で待ち、対向車が途切れたのを確認し、小学生の動向を確認しながら、右折をします。毎日同じような光景ですが、当然のことながら人や車の流れは日々変化します。つまり、淡々と運転しているようで、適度な緊張感は常にあるものなのです。(その気持ちがなくなるなら、運転免許は返上したほうが良いですね。)
(1) 交通ルールを理解し記憶し、運転中に迷いなく遵守できているのか?
(2) 人身事故を起こさないために、落ち着いた気持ちで運転できているのか?
→毎日の運転で、総合的な運転技術、感覚がさらに磨かれていくものです。
(1) 解法パターンを理解し記憶し、テストで十分に力を発揮できているのか?
(2) 計算ミスをしないように、落ち着いた気持ちでテストに臨んでいるのだろうか?
→本番想定で「1対1対応シリーズ」を解いてみるのは如何でしょうか?
チャート式を勉強し尽くした時点で、理論上は受験範囲を網羅したことになるのでしょうが、答えの数字を覚えてしまっているかもしれません。ですから、その後は「1対1対応シリーズ」等で、「本免許」取得後の腕を磨くのです。受験本番想定で、時間を測りながら、「人身事故」を起こさぬように、真剣勝負でやるのです。いつまでもペーパードライバーではいけません。ちょっとしたミスが命取りになりますよ。人生を無駄にしないように・・・
ガク氏からのコメント
ガクさんへ質問
オススメのストップウォッチはありますでしょうか?
追記_2022.03.11
私は自動車運転を例に書きましたが、言いたいことは、演習の大切さです。「テストでミスする場合は、普段の演習中でも同様の誤りをしているはずです。」とのガク氏のコメントは、暗に、「問題演習は当然やってますよね」と言っているようなものでしょう。。英語で言えば、「Exercise」。「Military ・・・」のような使いかたをする単語です。重い意味を持つ言葉なのです。
また、ガク氏の言葉を借りますが「学問としてではなく受験を意識した手法」の考え方は、無視できないと思います。そもそも論ですが、ほとんどの人が受験を意識して、この記事を読んでおられるはずですが…受験テクニックとして、和田秀樹氏の「受験は要領」も大切ですし、「ストップウォッチ」も大切だと思います。
以上、表にしてみました。
- 管理人注:表中のリンクは以下の通りです。
管理人より
ご寄稿いただきありがとうございます。
ストップウォッチは腕時計で代用していました(ストップウォッチ機能があれば腕時計で十分です)。
ちなみに私が愛用しているのはカシオのLINEAGE(リニエージ)というシリーズ。
中1の頃に買ってもらいましたが、素晴らしい時計です。
薄くて軽くて機能満載です。
アナログの視認性とデジタルの機能性に加えてソーラー電池のおかげで半永久的に使えます。
灘高受験も東大受験もこれで乗り切りました。
しかも頑丈。
沢登りも厳冬期アルプス縦走もずっとつけていました。
岩にぶつけても水に沈めても、–30°Cに暴露しても壊れません。
傷もあまりつきません。
かれこれ10年以上経ちますが、まだ使っています。まだまだ使えます。
話が逸れてしまいましたが、素晴らしいです。
追記 管理人より
追記を拝読しました。
表も作成していただき感謝申し上げます。具体例が非常にわかりやすいです。
ふと受験生時代を思い出し、感慨に耽ってしまいました。私は中学受験をする当初、実践演習は全く行なっていませんでした。ただ、純粋に面白いから学んでいた記憶があります。志望校の過去問も解けたため、この調子だと合格できるだろうと高を括っていました。
実際、そのままでも合格できていたかもしれませんが、やはり実践を意識した演習は重要です。小6から進学塾に入ってみましたが、強者ばかりでした。計算力やら記憶力やら。自分を遥かに超えたライバルがウヨウヨいました。どうなってるんだと思いながら、私も必死で食らいついたことを覚えています。
ライバルを知ること、本番を意識して演習を重ねること。この2つは合格を確かなものにするために極めて大事です。特に後者。本番までどのように戦略を練っていくのか。そして、どういった意識で毎日を過ごすのか。
知識を習得して実践する。
目標を掲げて努力する。
これらの地道な繰り返しで物事は達成される。そんなふうに受験から教わったように感じます。
関連書籍
本記事で紹介されていた勉強本です。
文庫本は入手しづらいです。
内容は単行本も文庫本もほぼ同じです。なかなか思いつかない勉強法がたくさん載っているため参考になります。真似できるところは真似して、合わなかれば自分でアレンジしてください。
単行本の方が新しいですが、私は文庫本が好みでした(古いイラストが好きなので)。実家に置いています。
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