東大生が実践!どうしても勉強のやる気が出ないときにすること
やる気が出るまで待っていたら、一生待つことになる。
これは精神論ではなく、脳科学が示している事実だ。
脳科学者の茂木健一郎氏によれば、やる気は行動の「原因」ではなく「結果」だという。やる気が出たから動くのではなく、動いたからやる気が出る。やる気の源泉であるドーパミンは、脳の「側坐核」という部位から分泌されるが、この側坐核が活性化されるには、実際に行動を起こさなければならない。スマートフォンをいじって待っていても、側坐核は一向に動かない。
この記事では、私が実際に使っているやる気の起動法を、脳科学の裏付けとともに紹介する。
① 掃除——最初の5分が脳を変える
やる気が出ないとき、私が真っ先にするのは掃除だ。
なぜ掃除が効くのか。脳科学にはっきりした答えがある。脳の深部にある「淡蒼球」という部位が、行動意欲の司令塔だ。淡蒼球を活性化させる最も簡単な方法は、「とにかく体を動かすこと」だ。デスク周りの整理や掃除のような単純な身体作業が、この淡蒼球を刺激してモチベーションを引き上げる。
禅にも「一掃除、二信心」という言葉がある。掃くことは心の塵を払うこと。拭くことは心を磨くこと。禅と脳科学が、同じことを別の言葉で言っている。
私の部屋の机の上には、何も置かない。この文章も早朝、まっさらな机の前で書き始めた。何もない空間が、考える余白を作ってくれる。
部屋が散らからないコツは一つだ。平らな面にものを置かないこと。棚の上、椅子の背もたれ、床——水平面があると人はものを置く。それを防ぐだけで、部屋は保てる。
② 偉人の伝記を読む——ドーパミンを「未来への期待」で引き出す
脳がドーパミンを分泌するのは「この先にいいことがある」と具体的に想像したときだ。脳科学者の西剛志氏の研究によれば、漠然と「頑張ろう」と思うだけではドーパミンは出ない。「これをやれば、あの場所に辿り着ける」という具体的なイメージが必要だ。
偉人の伝記はその役割を果たす。ページをめくるたびに「この人もそうだったのか」「自分もまだいける」という感覚が湧いてくる。これは精神論ではなく、脳が未来への期待でドーパミンを出している状態だ。
私がよく読んでいたのは次の人物だ。
吉田松陰——29歳で刑死した幕末の思想家で、死の直前まで塾で教え続けた。松下村塾の門下生から伊藤博文ら明治の立役者が生まれた。「志を立てること」の力を教えてくれる。
福沢諭吉——豊前中津藩の下級武士の家に生まれ、独力でオランダ語・英語を習得した。「天は人の上に人を造らず」という言葉は独立自尊の精神の宣言だ。独学で道を切り拓いた先人として、親しみを覚える。
植村直己——北極点単独行や世界五大陸最高峰登頂を成し遂げた冒険家だ。マッキンリー(デナリ)で消息を絶つ最後の登山まで、一貫して「もっと先へ」という衝動に従って生きた。彼の本を読むと、自分の悩みが小さく見えてくる。
加藤文太郎——大正から昭和初期の登山家で、単独行の先駆者だ。「単独行」という著書は日本の山岳文学の名作だ。貧しい家庭の出身でありながら独学で山を極めた姿が、独学者として重なる。
③ 筋トレ——テストステロンとBDNFが脳を刷新する
勉強のやる気が出ないとき、体を動かすことが最速の解決策になることがある。
理由は明確だ。筋トレや運動によってテストステロンが分泌される。テストステロンはドーパミンの分泌を促し、意欲と集中力を高める。さらに有酸素運動はBDNF(脳由来神経栄養因子)を増やす。BDNFは海馬を活性化させ、学習と記憶に直接関与する物質だ。
また、セロトニンの存在も重要だ。セロトニンはやる気を「維持」し、粘り強さを生む神経伝達物質で、ウォーキングや咀嚼などのリズミカルな運動によって分泌が高まる。朝の散歩が気分を整えるのは、このセロトニンの働きによるものだ。
私は毎日懸垂を200回している。最初は10回もできなかった。習慣にしてしまえば意志の力はいらなくなる——これは脳科学でも証明されていることで、習慣化された行動は前頭前野から大脳基底核にコントロールが移り、疲れていても自動的に実行できるようになる。
勉強の合間に腕立て伏せ20回でいい。それだけで頭の切り替えができる。
④ 身近な「本気の人」を思い浮かべる
社会的比較が動機づけに与える影響は、心理学で広く研究されている。
難しく考えなくていい。クラスの中で、尊敬できる誰かを一人思い浮かべる。その人は今、何をしているだろう。ダラダラしている自分の横で、その人は机に向かっているかもしれない。
この想像だけで、体が動き出すことがある。ライバルの存在は脅威ではなく、自分を動かすエンジンになる。
灘高受験のとき、私はVITAL3000という単語帳を手に入れた。「難関塾の生徒たちがこれで毎週テストしている」と知ったからだ。同じ教材を持つことで、見えないライバルを意識できた。それだけで勉強への集中が変わった。
⑤ それでも動けないときは——「真剣に遊ぶ」
上のすべてを試してもどうしても動けない日がある。そういう日は、勉強しなくていい。
ただし、なんとなくスマートフォンをいじるのは避けてほしい。SNSのスクロールは側坐核を活性化させないどころか、脳を疲弊させる。
私がするのは自転車だ。目的地を決めずに、ペダルを漕ぐ。必死に漕ぐ。気がつくと景色が変わっている。見たことのない路地に入る。川の匂いがする。夕暮れが美しい。
そのとき、今まで悩んでいたことがどうでもよくなる瞬間がある。大げさではなく、本当にそうなる。「生きているってすごいことだ」という感覚が湧いてくる。
サイクリングを終えて帰宅すると、頭が軽くなっている。机に向かうのが怖くなくなっている。
遊ぶなら真剣に遊ぶ。中途半端に遊んで中途半端に勉強するより、全力で遊び切った後の集中の方が、ずっと深い。
まとめ:やる気を待つな、作れ
整理するとこうなる。
まず掃除をする。淡蒼球が動き出す。次に体を動かす。テストステロンとBDNFが分泌され、脳が活性化する。偉人の伝記を開く。ドーパミンが未来への期待で分泌される。ライバルを思い浮かべる。比較がエンジンになる。それでも動けなければ、全力で遊ぶ。
やる気は待っても来ない。でも、動けば来る。
最初の一歩は、机の上を片付けることでいい。それだけで、脳は動き始める。





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