灘高の内部事情|校内順位・進学先・通塾・授業の実態を卒業生が解説

灘高に入ると、外からは見えない世界が広がっている。
模試の全国トップ層が同じ教室にいる。オリンピック受賞者が隣の席で問題を解いている。帰国子女が当たり前のように英語で会話している。そういう場所だ。
この記事では、実際に在籍した立場から、校内順位と進学先の実態・通塾事情・授業の現実を整理して話す。受験を検討している中学生にも、保護者にも、参考になるはずだ。
校内順位と進学先の目安
灘高の最大の特徴の一つは、校内順位が極めて正確なことだ。駿台や河合塾の模試より信頼できる。自分の現在地を把握するのに、これほど精度の高い指標はない。
学内資料をもとにした、おおよその進学先の目安は以下の通りだ。あくまで傾向であり、学年によって変わる。
1〜30位:東大理科三類
一言で言えば、天才だ。勉強だけでなく、何かしらの資質が備わっている。数学オリンピックや物理オリンピックで金メダルを取り、英語ディベートで世界大会に出場し、すでに大学の研究室に出入りしている——そういう人たちがこの層に集まっている。一見、たいした努力をしていないように見えるのに、結果だけが飛び抜けている。日本の宝だと思う。
30〜50位:京大医学部
努力の鬼だ。休み時間も教材を開いている。塾から出される大量の課題に忙殺されながら、それでも結果を出す。
50〜80位:阪大医学部・東大
努力の塊。この層も相当な実力者だ。
80〜100位:東大
阪大医学部は厳しいが、東大なら現役合格圏内だ。
100〜120位:東大現役合格のボーダーライン
先生からの激励が届くゾーンだ。ヒヤヒヤものだと思うが、ここから伸びる人も多い。
120〜200位:浪人して医学部・東大へ
この層は勉強をあまりしていない。能力がないわけではなく、単純に時間を割いていないだけだ。本気を出せば翌年には笑顔でキャンパスを歩いている。
200位以下
進路はよくわからない。せっかく素晴らしい環境に入ったのに、勉強を放り投げてしまった層だ。もったいないと思う。
「順位」の落とし穴:直前期の追い上げが凄まじい
灘高では高3の夏頃まで部活動が続く。12月までクラブに励んでいる猛者もいた。
そういう人たちが、入試直前期に急激に追い上げてくる。地方の進学校の生徒が緩やかに成績を伸ばしていくのと比べ、灘高生の直前期の伸びは別次元だ。模試の順位もきれいにひっくり返る。「現役生は直前期に伸びる」とよく言われるが、課外活動に集中していた灘高生はその何倍も伸びる可能性がある。
だから、模試の順位だけを見て一喜一憂しても意味がない。
余談:灘は留年が多く、開成は浪人が多い?
灘高の先生がよく言っていたのが「灘は留年が多く、開成は浪人が多い」という話だ。個人的には「開成は東大受験者が多いから浪人生も多く見える」だけではないかと思っている。私の周りを見ていると、灘は東大での留年は少ないが、京大医学部・阪大医学部での留年がとても多い印象だ。医学部はそれだけ厳しいということでもある。
高校から入学した場合のクラス編成と授業
灘は中高一貫校だが、高校から外部入学する枠がある(毎年40名程度)。
外部入学生(新高生)のクラス編成はこうなっている。1組・2組は内部進学の在来生と新高生の混合クラス。3組・4組は在来生のみのクラスだ。
1年生の間は、数学・国語・理科・柔道の一部科目だけ新高生専用クラスで授業が行われる。在来生は中学2年の1学期に中学数学の範囲を終え、中学卒業時には数Ⅰ・A・Ⅱ・Bを終えている。新高生はその遅れを1年間で取り戻す構成だ。2年生からは共通クラスになる。
英語の授業では外国人教師によるネイティブ授業があり、最初から最後までほぼ英語で進む。帰国子女や英語力の高い生徒には普通だが、リスニングと文法が弱いと入学後に苦労する。入試対策と並行して、英語の土台を早めに固めておくことをおすすめする。
通塾事情:ほぼ全員が塾に通っている
結論から言う。90%以上が塾に通っている。
私のような独学派は希少種だ。超長距離通学者か独学主義者のどちらかしかいない。私は両方に該当していたので迷わず独学だった——本音を言えば、お金がなかったというのも理由の一つだが。
灘高生に人気の塾
鉄緑会——東大・国公立医学部受験生御用達。灘高生は特待生として入塾できる場合がある(入塾期間に期限があるため、早めに確認することをおすすめする)。誤解してほしくないのは、鉄緑会に入れば合格できるわけではないという点だ。厳しい指導と大量の課題に「潰されなかった人のみ」合格できる。
研伸館——鉄緑会より負荷が緩め。関西では知名度が高い。
駿台・河合塾——交通の便や通いやすさで選ぶ生徒も多い。
高等進学塾・東進——灘高生への特待制度があるため利用者がいる。
塾の優遇措置について
私が在籍していた頃(2010年代)は、灘高生向けの優遇措置が各塾から用意されていた。駿台は一部講座が無料、東進は東大特進コースと東大模試が無料、代々木ゼミナールは模試がほぼ無料、高等進学塾は特待制度で無料というものだ。
灘高の正門前で毎朝ボールペンやクリアファイルを配って勧誘してくる塾もある。保護者面談の日にお母さんに声をかけてくる業者もいる。受験業界の闇だと思っている。
灘高という環境の本当の価値
灘高に入ると、模試のトップ層が手の届くところにいる。
問題の解き方はオリンピック受賞者が教えてくれる。英語表現は帰国子女が直してくれる。勉強法は努力の鬼を真似ればいい。これほどの学習環境は他にない。
さらに、土曜講座という制度がある。国内外で活躍しているOBや著名人が講師として登壇し、砂金取り体験から指揮者による音楽指導、作家による文学講座まで多彩な内容が用意されている。勉強以外の視野が広がる仕掛けが、在学中から組み込まれているのだ。
灘高は「勉強をする場所」ではなく、「本物に触れ続ける場所」だと思っている。その環境に身を置くこと自体が、受験勉強では得られない財産になる。






コメント
コメント一覧 (2件)
独学で大学受験に臨まれたというガクさんに相談です。私はガクさんの高校の後輩で、現在高2なのですが、周りはほとんどT緑会という現状です。先生は塾に行かなくても良い、授業で事足りるとおっしゃっていますが、どうしても私にはそう思えません。T緑会でガチガチに受験対策をしている人たちに、遅れをとってしまっているのではないかと考えてしまいます。塾には一応行っているのですが、独学でやることも考えています。このまま先生の言葉を信用して、独学にシフトしていいのかどうか、とても悩んでいます。確かに、東京出版の教材など、塾に行かなくても手に入る質の良いものはたくさんあり、私も進めていますが、果たしてそれらで補完できているのか分かりません。
ガクさんは、高校生の頃、学校の授業で大学受験に対応できると思われましたか?
また、独学で大学受験に臨むことについて、どうお考えになりますか?
私は、本気で合格したいです。
主観にはなりますが、「東大なら努力で合格可能。理3・京医は才能or対策が必要」だと感じました。
灘は他の進学校と比べると、宿題やテストが極めて少ない点が特徴です。
そのため、学校の勉強だけでは物足りない印象です。学校+αの内容を自分で進めた方が良いです。
例えば、高2末時点で2科目だけでも2次試験で合格点(得点率)を上回るようにするなど目標を決めて、先取り気味に進めてください。
受験に限ったことではないですが、独力で何かを成し遂げるのは精神力を要します。勉強面以外でも成長できるはずですので、頑張ってください。
応援しています。