共通テスト750点〜800点の方法論
共通テスト750点〜800点の方法論
東大もしくは旧帝大医学部よりも下にランクにする国立大学医学部を目指す受験生が対象です。共通テストボーダー83〜89%レベルでしょうか。高校の授業を軸に頑張ってきましたが、我が家で語れる部分に関して、重点的に触れてみたいと思います。
1. 科目選択・学習計画・成果
日本史
他の理系生徒の多くが地理を選ぶ中、日本史を選択していました。対策のイメージが出来ていたことが理由だと思います。地理よりもトータルの学習時間が長い可能性を認識していましたが、時間をかけても確実に点数が取れるという判断でした。確かに、学習を始めた当初は、レベルの高いテキストを、時間をかけて、暗記にも精を出して、模試で高校内1位という結果を出していましたが、途中からは方針を転換しました。他の教科とのバランスを考慮する必要を認識したからです
金谷先生という方のブログを見つけました。(https://ameblo.jp/shun-kanaya/entry-12728213919.html)
(引用)
共通テストはセンター試験と違って高校2年生の段階でも90点以上の得点を取ることが可能なテストです。なぜなら共通テストは難しい用語を出しているわけではないからです。あくまでも問われているのは基本的な用語と基本的な歴史の構造です。しかしそれが直接的に歴史用語という形で出題されないので、歴史用語丸暗記タイプの受験生にとっては難しい問題と感じられるのでしょう。
私は客観的には今年の共通テストの問題は、昨年度の共通テストいや今までのセンター試験に比べてはるかに易しくなっていると考えます。「満点は難しいかもしれないけど90点以上が続出するのではないのか」と思っていましたが実際のところはそうではありませんでした。この結果を見て「歴史用語や年号の丸暗記教育からまだ受験生は脱却できていないのだな」という気持ちになりました。
(引用終わり)
子供とはよく話をしますが、特別なことはしていないと思います。実際には、金谷先生の共通テスト用のテキストで「流れ」を掴むだけなのです。入浴中にのみ学習していたように思います。湯船に浸かりながら、本を読んでいるのです。面白いですね。ちなみに、経済的に余裕があれば、お風呂で使える電子デバイスを購入し、学習に活かすのが理想ですが、息子は、使い古しのジップロック様の袋でした。イーロン・マスクの第一原理主義を実践しているかのうようで、コストがかからないながら、十分に利用価値のある方法を実践していたのだと思います。ただし、この方法で入浴中にページをめくっているとは思えませんので、一回の入浴で、見開きの2ページのみの読書なのだと思われます。
決して勘違いしないでほしいことがあります。大前提として、息子は、学校で学んだことは、定期テスト対策を起点に、長期的に暗記する仕組みを作っていましたから、高校の授業で習う内容は当然頭に入っているわけですし、そういう状況での「読書」により、確実に、「歴史の流れ」を理解することにつながっていたのだと思います。ちなみに、共通テストの結果はおよそ80%の得点率でした。目を惹く点数ではありませんでした。90%取れなかった理由は何だろう?と、本人がつぶやくこともありますが、演習不足が原因だと思います。
演習がどれだけ必要か、と悩まれる方は多いと思います。日本史に特化した議論ではないですが、教科書・参考書類の学習「理論」に対しての「演習」と定義したとして、理論:演習=9:1 というよりは、5:5に近いレベルで行うべきではないかと、想像しています。
物理
学校で渡された「セミナー物理」を完遂。それ以上は踏み込ま(め)なかった。(得点率85%程度)
化学
学校で渡された「リードライト」と「重要問題集のA問題まで」は完遂。B問題まで完遂したかったとのコメント。(得点率80%程度)
共通テストにおいても、B問題まで完遂することが望ましい。
英語
中学卒業前に英検2級を取得し、高校1年生の頃は、英検準1級の過去問をかなりの量、学習していた。さらに、「究極の英単語」にも興味を持ち、そのレベルの英単語に関して、「英語から日本語」「日本語から英語」の完全制覇を目標にしていた時期があったが、完全にはやり切っていない。しかし、この時期、リーディングの成績でトップを取っていたはず。その後に方針転換し、英語にさほど時間を割かなくなった。高校2年以降の英語力は現状維持のまま進み、相対的に順位は低下して行った。高校生活全体を通して見ると、学校の教材(シス単、学校配布の例文集等)は完遂していたはずで、大崩れすることなく、無難に受験本番を走り去った。(英語総合 得点率80%程度)
年々「難化」していることを考慮すると、特に筆記は、英検準1級合格レベルが要求されつつあるのではないか。英語リスニングは、英検2級の力があれば、対策の必要はないのではないか。
数学
数IIIまでの青チャートの例題を完遂。(得点率85%程度)
(ケアレスミスがあった。本来ならもっと取れていたのではないかと…)
「共通テスト対策においては、数IIIまでの例題は必要ないだろう」という意見はありそうですが、共通テストの点数だけ見ても上位に位置するので、その部分を殊更議論する必要はないかと思いますし、寧ろポジティブに捉えるべき目標だろうと思います。
エピソード
高校の授業の一環で時々例題を解かされることがあったようです。答えを暗記しているわけですから、当然ながら、スラスラと解答できてしまいます。
友人:「なぜそんなに解けるのか?」
クラスで1番の息子:「青チャートの例題(解答)を暗記しているから」
→いろんな角度からの議論があるとは思いますが、和田秀樹氏の考えは今もなお生きていると思います。
現代文
直前期、古文・漢文のついでに、センター試験の過去問演習にかなりの時間を割いていた。数学の青チャートような明確な方法論が確立していない中、過去問をやりつづけるしかなかったのではないか。「現代文に関して、高得点を狙わずとも0点で良いはずはないので、それなりにきちんとやる」との本人談。模試で出てきた文章を、ウォズニアックの復習間隔よりも長めに設定した計画に沿って、読み返していた。その他、Z会の「現代文 キーワード読解」を完遂。(国語総合の得点率は全教科の中で最高の約90%)
その他
保健を含む定期テスト全教科で手を抜かない(手を抜かせない)主義。理解し定期的に復習し長期記憶をする。学力を支える基盤になっていたと思われる。教養を身につけるべく努力の先に、結果的として、英語長文や現代文の読解力の向上につながるという風に捉えている。定期テスト(+平常点)は理系高校内最終順位で1番。
2. 意欲の維持(マズローの欲求5段階説、読書感想文の役割、直前4週間の熱量、youtubeの活用)
中弛みがない代わりに、高校2年生の秋の修学旅行後に、精神的な不安定さが表面化しました。しかし、科学の甲子園への出場がきっかけで上向きに変化しました。同時期に再開したサバ缶の復活も、栄養学的に支えとなった可能性が考えられます。また、マズローの欲求5段階説は、この難局を乗り越える上で、重要な示唆を与えてくれました。この時期、息子にとっては、人生最大の試練だったかもしれません。
高校3年生の夏休み前からは、推薦入試に向けた準備が始まりました。志望動機文の推敲や書類提出、面接練習を通じて、段階的にモチベーションが高まりました。また、学校生活において敬遠されがちな読書感想文が、推薦入試の準備においてはプラスの影響を与えることがわかりました。読書を通じ人生を見つめ直すことで、受験勉強に意味が生まれ、モチベーションが高まるのだと言えます。
特に最後の4週間は学びを結集し、最高のパフォーマンスを発揮するための重要な期間となりました。長い間入浴中に読んでいた日本史のテキストは、この時期には学習部屋に移動され、代わりに、お風呂場には年表が置かれました。明らかなモード変化を示すものでした。実際、一夜漬けが4週間続くような熱量を感じました。
最後に、特筆すべきことは、今時の受験生がyoutubeを活用することです。モチベーションをMAXに持っていくため、教育系のyoutubeを参考にすることに、私は大いに賛成しています。ここは賛否がわかれると思いますが、我が子を見る限り、直前期だからこそ必要なものだったと考えています。ちなみに、息子は、誘惑に引きづられる人間の性を認めていますが、中学の時に購入した iPod touch の使用のルールを自分自身で考え抜いたことで、誘惑を断ち切る術を身につけています。
3. 医学部推薦入試に関わる情報(親の役割、プル型の情報収集)
親の役割
学校任せではなく、親が責任持ってやるべきかと思います。保護者間の知り合いを頼って、臆せず、断片的な情報でも聞き出すことは、時には必要だと思います。
相手のパーソナリティに依るところが大きいとは思いますが、仮に曖昧な情報でも、数時間以内に、上記内容に関して詳細に返事をしてくれる友人(大学時代から数十年の付き合いがある)の存在は、私にとっては精神的に心強いものでした。
ただし、知り合いの知り合い(の知り合い)を頼れば、情報に精通している人はごまんといるとは思いますが、なかなか正しい情報には辿りつかないものだと思います。
最終的には、公(県や大学)のホームページにアクセスし、情報を正しく整理・理解し、子供にきちんと説明する能力が、親には問われているのだと思います。そういう環境で、子供は安心して、受験勉強に専念できるというものでしょう。
プッシュ型・プル型
上記書き綴っている中、コロナ禍のおけるプッシュ型支援などの言葉が閃くとともに、大学受験におけるプッシュ型とそれに対するプル型の概念が浮かんできました。
教科の学習は、まさにプッシュ型の特徴を備えているように思います。各教科の専門家である高校の先生たちは、受験に必要な知識やテクニックを積極的に生徒たちに伝授してくれているはずです。このプッシュ型支援により、授業や模試を通じて、子供たちは学力を伸ばしていきます。
一方で、推薦入試に関する情報の収集については、プル型という概念がフィットしているように思います。親が探究心をもって情報収集を行わなければならない側面があるのだと感じます。入試の選考基準や受験生に期待される特性など、曖昧な情報が溢れていると捉えるべきであり、その中で、親の責任で主体的に情報を引き出さなければならないものだと考察しました。
一つの具体例となりますが、推薦入試を勝ち抜くためには、推薦入試を勝ち抜いてきた現役大学生、その親御さん、および、高校生たちを指導してきた先生方へのプル型の情報収集により方向性を決定していく作業になるのかなと思います。
4. 中学受験の必要性、中高の同級生からの刺激
以前に掲載させて頂いた内容(https://nadatodai.com/contribution-2109/)ですが、本質的な考え方を導いてくれた中学受験という経験は、引き続き、ポジティブな影響を与え続けた可能性は高いと思っています。進学塾や中高一貫校至上主義に傾倒していた妻との意見の相違が生じ、ディスカッションが絶えず、私の心中は穏やかではありませんでしたが、大学受験を超えたところにある、子供たち自身の人生観に焦点を当てることで一致点が見つかったように思います。その結果、国立または公立のコースを選び、子供たちは健やかに進学しています。(私立中高一貫校を目指すような考え方に否定的な記述になってしまいますが、学費の支払いに問題がなければ、当事者の人生観に基づき、好きなところに行かせてあげるべき、との見方もできます。)
地方国立中学や公立トップ高校への進学後、(私立に比べ)東大進学希望者は少ないかもしれませんが、確かな刺激を受けていたように思います。息子は定期テスト(+平常点)の最終順位1位を獲得した一方、実力試験では、あくまで最高順位ですが、高校内理系2位だったことがありますが、同級生の中に、息子と同レベルの学力を持つ者が10人程度の規模で存在していることがわかっていますし、この事実は公立高校でも十分な刺激を得られることを示唆しているわけです。
また、一時は不動の一番がいるのではないかと想像することがありましたが、息子の情報からはその考えは誤りであることがわかっています。要するに、入れ替わり立ち替わりの校内トップですから、息子にとっては程よくトップを狙える位置にいたはずです。しかし、模試の結果で示されるトップ集団から抜け出すモチベーションがあるわけでなく、定期テストで手を抜くわけでもないながら目標はそこにはない、というスタンスで、ただただ遠くにある目標に向かって努力する姿勢により、結果的に、両極の試験で良い成績を取ったのだと思います。
なお、天才型ではなく、秀才型?の息子とイメージが似ている同級生の存在を知っていますが、その彼は、共通テストの結果が圧倒的に上でしたので、最終的な共通テストの結果としては、潔く2番以下を受け入れるべきだな、ということを息子と語り合いました。
5. まとめ
我が家では経済的にも精神的にも大きな犠牲を伴うことなく、ただただ公立高校のカリキュラムを享受したことで、(きっと運も味方につけた上で、)共通テストで一定の結果を出すことができました。是非とも参考にしていただきたいと思いますが、大学受験ではなく子供自身の人生に焦点を当てることが成功の鍵である、との結論で締めくくりたいと思います。
最終的な合否の結果は出ておりませんし、今後の具体的な人生の道筋は不明瞭なままですが、以上、現時点で、十分に意味のある経験を積むことができたのではないかと考えています。医学部進学希望者の悲劇的なニュース(https://toyokeizai.net/articles/-/659824)を思い出すこともありますが、読者の皆様におかれましては、そういった世界とは無縁で、充実した人生を送ることを切に願っています。
追記
無事に第一希望に合格し新たな道に進んでおります。いつかお礼に伺います。
管理人より
大学受験に向けた準備や勉強方法について、網羅的な記事を立案〜ご送付くださりありがとうございます。
私(ブログ管理人)が個人的に関心を持ったのは、入浴中の学習です。
私はお手洗いの壁やデスク前に暗記事項のメモを貼るなどといった工夫はしていましたが、入浴中は何も行っておりませんでした。幼少期に親と一緒に九九を最後まで言えるかどうかチャレンジしていた記憶くらいしか出てきません。防水アイテムとしてジップロックの活用は真似しやすそうです。
また、気になる点としては、苦手科目への対応です。いかに対処・克服していくかが、多科目受験が特徴の共通テストにおける得点安定の鍵を握るのではないかと思います。私の場合は現代文で苦労して、精神的に辛かったです。
貴重な情報が盛りだくさんとなる予感ですが、公開できる範囲だけで構いませんので追記を楽しみにお待ちしております。
管理人より 2
第2章の追記、ありがとうございます。
YouTubeを活用するとは、時代は変わりましたね。
私は毎日のように先輩方の合格体験記を読み込んで、真似できそうな方法は取り入れて勉強を進めていました。YouTubeはコメント欄で、他の受験生の状況を垣間見られるのが、大きな魅力だと思います。
YouTubeは誘惑も盛り沢山ですが、うまく使いこなせば強力な武器になりそうです。
科学の甲子園などのコンテストへの出場は、モチベーションの維持や意欲の起爆剤として最適だと感じます。将来、ちょっとした自己アピールに使えることもあります。努力がしっかり形として残るのがいいですね。
追記
文章を拝読していて、自己管理力や底力を発揮する経験ができるという点では、日本の受験制度も評価できると感じました。
管理人より 3
第3章の追記、ありがとうございます。
記事にご紹介されている通り、気楽に情報を共有できる知人の存在はとても心強いです。
公に開示されている情報と、実際に経験した人・精通している人の情報(アドバイス)を組み合わせることで、自分の進むべき道筋が明確になります。
私の場合は、中学受験のときは親戚、高校受験のときは同じクラスの友人が強い味方となって支えてくれましたし、私の目標でもありました。
公式ホームページの情報は、機関によっては複雑でわかりづらいことも多く、相応の読解能力や検索能力が要求されると思いますが、このあたりも家庭によって差が出てくるかもしれません。
そのような場合でも、学校の友達や先生に気軽に相談していく姿勢が大事なのでしょう。
ただ、私はこのような情報収集はとても苦手ですし、自己解決に執着しており、周りの意見を広く取り入れなかったことが反省点でもあります。
追記
第3章の追記と補足をありがとうございます。
プル型の姿勢で過ごしていれば、応援したいと感じた周りの人がプッシュ型の役割へと変わり、より多くの情報を引き出すことができることも多々あるように感じます。
管理人より 4
首席、おめでとうございます。
トップ層を走り続けるのは至難の技ですし、首席まで登り詰めるのは偉業です。
まとめまで仕上げてくださり、ありがとうございました。
管理人より 5
さらに加筆していただきありがとうございます。
数学の例題の解法暗記についてですが、同様の意見を聞いています。
同じように国公立大学医学部に合格した他の方の話では、「入試数学は国語の語彙と似ている。膨大な問題とその解法パターンを頭に入れ、その中から適したものを引っ張り出す作業だ」とのことでした。
こちらもお近くに行った際はぜひ、お伺いできればと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
管理人より 6
国公立のご様子を詳細に書いていただき、大変助かります。
順位というと、私の通っていた灘高校は番狂せが多かったことを思い出します。
個人的なイメージですが、灘高では天才型が学年の大半を占めており、努力型(秀才型)は少数派でした。天才型の方たちは高3の秋以降の直前期にぐんと伸びていった記憶があります。あれよあれよという間に順位もひっくり返りました。
同様のことが、医学部受験でも(在籍校は違えど受験層の中で)起こりうるのではないかと思っています。
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