受験の本質とは
受験の本質とは
「守破離の教えと息子の学習」(https://nadatodai.com/contribution-2206/)の投稿(2022年6月11日)から1年弱経ちました。当記事の主人公である長男は高校3年になり、受験物語はいよいよ最終章突入です。さっそく学年最初の実力試験の結果が返ってきたようです・・・
ちなみに、息子は地方国立大医学部狙いです。入試の問題の質が違うであろう東大を志望する同級生と比較してもあまり意味がないのかもしれませんが、実力試験の結果から想像する限り、彼らと肩を並べているようなのです。
長男が小学校5年生の時からスタートした中学受験から数えると満7年を過ぎ、長男に対して、今や勉強をするよう諭すことは無くなりました。寧ろ長男とのディスカッションを通して、受験の本質が明確化されてきているような気がします。
責任が重すぎて、ガクさんのブログを訪れてくる読者様に対して軽はずみなことは言えませんが、高校の授業と家庭学習で高みを目指す人たちの参考になるのではないかと思います。
受験生本人が意識する
私がこの記事で言いたいことは、同級生でモチベーションが高い人たちの多くが東○衛生の授業を受けているみたいなのですが、息子は学校の授業がメインで、家庭では自ら学習の計画をたてその通りに実行しているということです。
夫婦でよく議論になるのですが、「成績上位者は塾に通っているよ!」という妻に対して、「通塾者の成績はピンからキリまでなのだから、塾に通うか通わないかは本質的なポイントではない」と私はずっと思っていたわけですが、それを長男が実践しているわけなのです。
数学で話を進めると、夏休み前までに大学受験範囲のすべての例題(eg. 青チャートのすべての例題)をマスターする。夏休み以降に十分量の演習を積む。シンプルに書くとこれだけの話です。「その目的のために」、学校の授業や青チャートの動画授業、必要であれば東○衛生を活用してみる、と受験生本人が意識すべきではないでしょうか。
すべてやり切る
仮に例題が200題あったとしましょう。あくまで仮定の話ですが、この200題で試験範囲のすべてだとします。ただし、入試本番で例題のそっくり問題が出題されるとは限りません。問題の多くは複雑で難問な印象を受けるでしょうが、実際は、いくつかの例題の組み合わせで解けてしまうものだと理解しています。
単純化して、3つの例題の組み合わせで、大学入試問題の一つの問題が作成されるとしてみましょう。試験範囲が例題200題なので、組み合わせを考えると、(200 x 199 x 198) 個の問題が作成できることになります。対して、例題を190個しか解けない人は、(200 x 199 x 198) 個の入試問題のうち(190 x 189 x 188) 個の問題しか解けないことになります。率にして約85%です。この差は大きいと思いませんか。例えて言うなら、共通テスト200点満点中の、200点に対しての170点なのです。
いつも満点を取ってくる天才くんと比較して、例題ベースでは、同程度の理解力だと感じているのかもしれませんが、実力試験となると、点差が大きく、その点差の中に、他のライバル達がひしめき合い、結果として、順位が大きく下に位置することはあり得ると思います。
だからこそ、網羅系のテキストをすべてやり切ることが重要だと思うわけです。
これは数学に限ったことではありません。各教科にかけるエネルギーの度合いのバランス感覚は重要ではありますが、教養科目(現代社会、保健体育、世界史)をベースとした現代文や英語長文読解なども同様に考えていけば良いと思っています。散在している知識は、いつしか脳内で強固なネットワークとなり、高次の理解力に繋がっていくものだと考えています。
余談
余談ですが、英検3級(小6の娘の5月28日受験分)の長文は、「The Haka」でした。ラグビーの試合の前に披露されるダンスですね。一段落目からの抜粋ですが、The Maori people of New Zealand have a special dance called the haka.とあります。
マオリの伝統的なダンスであるハカはニュージーランドを中心とする各国のスポーツに取り入れられている。マオリの戦士の鬨の声であるハカは士気を高めるものとしてニュージーランドで親しまれており、「オールブラックス」ことラグビーユニオンニュージーランド代表がこのダンスを用いて試合の挑戦を行うのが通例である。他のニュージーランドのスポーツ代表チームや、人口の大半がマオリであるニュージーランド領クック諸島の代表チームも国際試合の前にハカを踊ることが多い。スポーツの場で披露されるハカはニュージーランド国民のアイデンティティを象徴するものとして非常に重視されている。(Wikipedia)
それはさておき、難しい単語には、注釈があります。
*ancestor: 祖先
*South Pacific Ocean: 南太平洋
*version: 型
こういうものは、一朝一夕に出来上がるものではなく、具体的な対策は何かと問われても困りますが、「南太平洋」という単語を目にした場合には、New Zealand と「南太平洋」の島国との位置関係をイメージできた方がよいですし、Maori という聴き慣れない単語とニュージーランドの「祖先」が結びつく想像力は英語読解の助けになるし、「型」をみて、新型コロナウイルスの「型」といっしょだぐらいの発想力があっても良さそうだし・・・と大人である私は考えるわけです。
短期記憶ではなく、長期記憶を意識する
直近の模試、定期試験の点数、順位に親子で一喜一憂していませんか?
目の前の試験のための一夜漬け的な勉強から得られる結果に意味はありませんよね!?
模試の結果を子供から見せられた時には、その話題に終始せず、私は、今後の長期的でかつ具体的な戦略について話し合うように仕向けています。
余談(6月1日追記)
最終ゴールが大学受験であることは明確です。しかし、定期試験というイベントですら、長期戦略のために十分に活用している(させている)という我が家の方針です。これに関して、高3長男が、定期試験のことについて話をしてくれました。直近のテストでは、現代文も含めて、全教科に渡って、高得点、高順位でした。
生徒の中には、対策を全くしない人、一方で、授業のノートの丸暗記に徹し高得点を狙いに行く人がいるそうですが、息子は、別の道を歩んでいます。
「なぜこういう答えになるのかという読解のプロセス」を暗記し定期テストに臨んでいるようです。結果、高得点につながっているだけの話だということです。
もう一つ、ケアレスミスの対策について、例として、完璧の「璧」について話をしてくれました。【「土」ではなく「玉」】と言語化し、【「土」ではなく「玉」】とい文言を定期的に復習し、長期記憶していくのだそうです。
繰り返しになりますが、小テストや定期テスト対策(短期記憶)を積み上げても最終的には良い結果は得られないでしょう。あくまで、最終ゴールを見据えた対策(長期記憶)が大切だと思われます。
親がプレッシャーをかけ子供がそれに応えて、小テストや定期テストの高得点を積み重ねたとしても、それは見せかけの実力かもしれません。このことに関しては繰り返し繰り返し意識すべきだと思います。
電子デバイスの活用について(6月8日追記)
下記記事にも少しコメントしていますが、今回は、電子デバイスについてき書き記しておきます。
↑iPod touchを買って欲しいと言ってきた話
↑ガクさんからのコメント:スマホよる動画作成
結論を先に書きますが、最終ゴールに向けて当事者が必要だと思うのなら、電子デバイスは活用すべき、というのが私の考えです。最終ゴールを意識しているかどうかは置いておいて、大型のプリンターを導入している家庭も多いと思います。文明の利器を賢く使いこなしたいものです。
また、仮に、「ソフトバンクを7年間で5度の日本一に導いた工藤公康前監督」が大学受験のライバルだとしたら、受験当事者はどのように感じるでしょうか。工藤公康前監督の自宅には、「6台のモニター」があり、「途中からデータ解析用の大型も追加」されたらしいのです。受験生のトップ層には、このような人が一定数いるのではないかと想像することもあります。
紙の辞書か電子辞書か、という議論もよく耳にしますね。
さて、本題ですが、我が家でも、高1第二子が高3第一子の真似をして、受験勉強のためにパソコンが欲しいと言い出しました。わかりやすい例として、青チャートの解説動画を見るために必要だと言われれば、納得できます。
しかし、母親から譲り受けた小さなスマホ(自宅のインターネット用)よりもモニターが広いパソコンになれば、youtube動画を娯楽目的で使いやすくなるはずなのです。どんなに勉強のやる気があるお子様でも危険ですね。
ありがちな例として、
パソコンを買ってあげるよ!ただし、次回の模試で点数が悪ければ取り上げるよ!
という親の言葉に対して、子供は、
とりあえずパソコンで遊び、模試の前で猛烈に頑張って良い点数を取る!
で良いでしょうか。ダメですね。短期記憶に対する長期記憶という観点からダメなのです。その辺を十分に理解する必要があることを伝えたいわけです。
また、長期戦略ですから、当然、目や脳の疲労などにも気を配る必要がでてきます。心身ともに健康であってこその長期戦略、長期記憶だと思いますし、そのことを理解した上で、当事者が必要だと言うのなら、購入してあげようかと考え始めています。
成績よりも大切なこと
逆説的な言い方になりますが、成績よりも大切なことはあると思っています・・・
心身ともに健康であるかということです。心身ともに健康であるからこそ、パフォーマンスを最大限に発揮でき、長期的に成績が安定するのだと理解しています。
成績だけを見ると大崩れせず問題はないのですが、この1年のうちに精神的にはつらい時期があったようです。勉強法を確立しさえすれば成績が上がり、大学受験レベルの学問なんて楽勝だろうと思っていたふしがありましたが、いざ勉強法を確立し成績が安定した後に立ち塞がったのは、精神面のつらさです。
受験うつ どう克服し、合格をつかむか
(光文社新書) 新書 – 2015/12/16
吉田 たかよし (著)
こんな本を読みました。さかなのDHAに言及しているページは、息子に当てはまりそうだと思いました。さば缶を毎日食べていた息子ですが、さば缶の値上がりを機に食べるのをやめた時期に合わせるかのように、精神的な落ち込みが始まったからです。
また、別の投稿者の寄稿記事「マズローの欲求5段階説について」(https://nadatodai.com/contribution-2303/)を読んで、親子とも救われた感じがしました。
①生理的欲求
②安全欲求
③愛情、所属の欲求
④承認欲求
⑤自己実現の欲求
のうち、「③愛情、所属の欲求」「④承認欲求」をすっ飛ばして、無理矢理「⑤自己実現の欲求」を満たそうとしていた自分に気づいたのです。
今や、自分を磨くために、さば缶を復活し、筋トレし、兄弟姉妹にやさしくし、お手伝いもし・・・波及して、勉強にもますます磨きがかかり始めました。
関連記事
管理人より
いよいよ、大学受験ですね。
サバ缶の効果はとても興味深いです。
私も大学受験のときは気乗りがせず辛い日々が続いたのを覚えています。早く大学の専門分野を勉強したいという気持ちが強く、目の前の受験勉強があまりに面白みのないものに思えました。
周りに勉強に熱心な人が多かったのが唯一の救いでしたが、時間を見つけては自転車に乗って気分転換していました。
個人的に精神的に辛くなった際は、散歩が一番効果があり、次にラジオ体操と筋トレでした。血流を良くすれば頭の回転も良くなる気がしました。
大学受験まで1年を切りましたが、悔いのないよう力を出し切ってください。応援しております。
管理人より 2
追記いただきありがとうございます。
英検の項目でご指摘のとおり、あらゆる分野の基礎知識を充実させることで、解きやすくなるように感じます。
私の過去を振り返っても、国語の説明文・論説文は自分が気づけなかった知識・視点を取り入れる絶好の機会でした(ただ、読むことだけに満足してしまっていましたが…)。
テキストで重要語句を太字にしたりして示されるより、国語の文章で筆者の見解を交えながら紹介してもらう方が、楽しく習得できました。
受験勉強を通じての国語学習のおかげで選り好みなくさまざまな文章に触れることができましたので、この点では受験勉強は高く評価できると感じています。
管理人より 3|「璧」を用いた熟語
追記いただきありがとうございます。
ご家族のみなさん、とても頑張っていらっしゃいますね。私は一人っ子ですが、兄弟がいたらお互い刺激になって楽しいだろうと想像します。
「完璧」という言葉について言及がありました。そういえば、「璧」を用いた熟語は他に何があるのでしょうか?私も気になって調べてみました。
有名なものに、「双璧(そうへき)」という言葉があります。
調べてみると、次のような由来が紹介されていました。
双璧とは、優劣のつけがたい二つのすぐれたもの。両雄。
双璧は、中国の『北史(陸凱伝)』の中で、二人の優れた息子を「双璧」とたとえて評したという故事に由来する。
この故事で用いられた「双璧」とは、一対の宝玉のことである。
「璧」は祭りや儀式に使われた飾り玉のことで、「宝玉」や「美しい玉」の意味のほか、「立派なもの」の意味としても用いられる。
引用:https://gogen-yurai.jp/souheki/
由来も面白いですね。いろいろ調べていると時間を取られそうですが…、調べると楽しいです。
話がずれますが、類語調べは、私が中高生の頃によく行っていました。電子辞書を使うと瞬時に複数の辞典から紹介してくれるため、とても便利でした。
特に効果的なのは、英単語です。英英辞典で英単語の意味を調べて、”Synonym”の項目をタッチすると似た意味の単語がたくさん出てきます。意味も少しずつ異なって表現されているため、勉強になりました。自由英作文で綴りが不安なときは、言い換えするのですが、類語検索を日常的に行っていたおかげで、スムーズに書けるようになりました。
管理人より 3
電子デバイスについて追記いただきました。
当時を振り返ると、電子辞書とウォークマン(当時は人気だったポータブルオーディオプレイヤー)が大活躍しました。いずれも英語学習には必須です。
いまはスマホが普及したことで、インターネットを好きなときにいつまででも手のひらで見られるようになりました。インターネットには娯楽要素も多く含まれており、それらに簡単にアクセスできる環境が整っています。
自己管理(特に時間のコントロール)が極めて難しくなり、脳が疲れた状態・集中できない状態が続きやすくなっています。
私が高校生の頃はちょうどスマホが認知され始めた時期であり、まだ周りで使っている人は少なかったです。また、私自身の極度のアナログ派という性格も相まって、携帯電話(ガラケー)に時間を取られることもありませんでした。私にとって携帯電話は非常時の連絡手段でしかなく、おおかた電源OFFにして本棚に飾っていたくらいです。
電子デバイスというと、パソコンもあります。
パソコンには興味を持ちました。あまりに機械音痴で高校の情報の授業(プログラミング)に全くついていけなかったたのです。家電量販店で型落ちの安いものを練習用に購入したのですが、できることが多くて面白くなりました。ホームページ用の言語をいくつか習得して、ゼロから手作りでサイトを作っては、公開していました。
両立が苦手な私ですから、当然学校の成績は少し下がりましたが、自分で納得して取り組んだことですので特に後悔はしておらず、これはこれで充実したなと感じています。
いまから振り返ると、高校生時代にパソコンを触っていたおかげで、大学でも人並みには情報処理できるようになったように思います。
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