灘卒東大生の父の7つの趣味|背中で語る子育てとはこういうことだった

私が最も尊敬する人は、父です。
灘高に合格したときも、東大に入ったときも、誰より嬉しかったのは自分ではなく父だったかもしれない——そう思うことがあります。父は何も言いませんでした。ただ静かに頷いた。その顔が忘れられません。
この記事では、父の7つの趣味を紹介します。趣味の話というより、父がどういう人間だったかの話です。保護者の方に読んでいただけると嬉しいです。
インドア編
① 勉強
父の最大の趣味は、勉強です。
何かを始めるとき、まず本を読み漁ります。徹底的に詳しくなってから動く人です。子どもの頃から、常に何かを学んでいる父の姿がありました。
私は負けず嫌いでした。父を追い越したくて、必死で勉強しました。するとこんどは父が高度な数学の問題集を買ってきて、自分でも解き始めるのです。中学生の頃は「今どこまで進んだ?」とお互いに聞き合っていました。競い合うというより、並走している感覚でした。
子どもは「勉強しなさい」という言葉より、勉強している親の背中から学ぶのだと思います。父は一度も「勉強しなさい」と言いませんでした。
② 読書
自宅に書庫部屋を構えるほどの読書家です。家族はこっそり「図書館」と呼んでいます。
本にはお金を惜しみませんでした。その代わり、装飾品は一切なく、お酒も飲まず、車も長く乗り続けていました。大量の本を抱えて帰宅したとき、母の顔が少し引きつることもありましたが、それでも買い続けていました。
父が本を読む姿を見て育ったから、私も自然と本を手に取るようになりました。図書館と呼ばれる部屋には、私が手を伸ばせるように、ちょうどいい高さに本が並んでいました。偶然ではないと思っています。
③ クラシック音楽
実はクラシックを聴きたいと言い出したのは、幼い頃の私だったようです。自分ではよく覚えていないのですが、小学生の頃にモーツァルトを聴きたいと言ったらしく、それから瞬く間にオーディオとCDが揃えられました。
今では百数十枚のCDが棚に並んでいて、朝からゆったりとした音楽が家の中に流れています。子どもの「聴きたい」という一言を、父は真剣に受け止めてくれました。
アウトドア編
④ 登山
私が歩けない頃から、父に背負われて山に登っていたそうです。
父は20代から登山を続けており、雪の北アルプスにも入る本格的な山好きです。毎週末、山へ通っていました。私も小学校に上がると自分の荷物を担いで登るようになりました。
今でも忘れられない景色があります。大峰山脈の八経ヶ岳(近畿最高峰)から見た雲海です。海のように目まぐるしく動く白い雲が、眼下に広がっていました。自然の神秘というものを、あのとき初めて全身で感じました。
根性がついたのは登山のおかげだと思っています。山は言い訳を聞いてくれません。それが子どもの精神を鍛えてくれました。
⑤ 自転車
こちらも20代から続けている趣味です。クロモリフレームの自転車を30年以上乗り続けています。「長く使えるものを選ぶ」という父の価値観が、自転車の選び方にも出ています。
私が自転車を好きになったのも、父の影響です。大学時代にコロナ禍での通学手段として自転車を選んだとき、往復60km・3時間を半年以上続けました。無茶だと思いつつ続けられたのは、父の背中を知っているからだと思います。
⑥ 筋トレ
学生時代から体を鍛えていたようで、握力は80kgを超え、腕はたくましく、手首は指が回らないほど太い。子どもの頃から「父は格好いい」とずっと思っていました。
その姿が頭に焼き付いているから、私も体を鍛え続けています。父のような体を目指して。まだ遠いですが、目標があるというのは幸せなことだと思っています。
⑦ DIY
身の回りのものは何でも作ってしまいます。本棚、机、椅子、郵便受け——ホームセンターや知り合いの大工さんから木材を調達して、物置小屋で黙々と作業しています。
幼い頃は手作りの机と椅子をプレゼントしてくれました。小学校から帰ってくると、玄関に手作りのものがそっと置いてあることがありました。何も言わずに置いてある。それが父のやり方でした。
手作りのものには、既製品にはない温かさがあります。今でも実家には父が作った家具が並んでいます。
父から受け取ったもの
振り返ると、父は「こう育ってほしい」と言葉にしたことが一度もありませんでした。
勉強している姿を見せた。本を読み続けた。山に連れて行ってくれた。何かを作って置いておいた。それだけです。押しつけではなく、自分の生き方を見せ続けることで、子どもの中に何かを残していた。
子育ての答えは一つではないと思います。でも、父のやり方が私には合っていました。
「自分で考えて、自分で動く」という習慣は、父の背中から学んだものです。塾でも学校でもなく、家庭の中で育まれたものだと思っています。
父よ、ありがとう。





コメント