往復4時間の電車通学|灘高生が実践した列車内勉強法と、学校選びの現実

GAKU
灘高・東大大学院卒。塾も予備校も使わず、独学だけで合格した。

その勉強法を、そのまま書いている。
再現性にこだわった情報だけを出す。

灘高受験・東大受験・中学受験・きのくに。
どれも一次情報しか書かない。

灘高まで、片道2時間かかった。

朝5時台に起き、複数の路線を乗り継ぎ、大阪の満員地獄を通り抜けて神戸東灘区へ向かう。帰りも同じだ。往復4時間。それが3年間続いた。

この記事を書こうと思ったのは、同じ悩みを持つ人が多いからだ。学校選びで「通学時間をどう考えるか」は、偏差値や校風と並んで最も重要な問いの一つだ。経験者として、正直に話す。


目次

長距離通学の現実:デメリットは本物だ

美化するつもりはない。長距離通学には、取り除けないデメリットがある。

朝が慌ただしい。秒単位でルーティンをこなす生活が始まる。家族と朝食の話をする余裕はなかった。デジタル時計を見ながら、リミットを切りながら出発する毎日だった。

帰宅するだけで消耗する。毎日2時間かけて移動するのは、遠足でもなんでもない。純粋に気力を奪われる。帰宅後に勉強しようとしても、体が言うことを聞かない日があった。

遅延がストレスになる。複数路線を乗り継ぐため、どこか一箇所が止まると始業に間に合わない。人身事故、台風、大雪——そのたびに親に車を出してもらったり、駅で何時間も待ったりした。精神的に消耗する。

クラブ活動が難しい。生物研究部と数学研究部、両方に所属したが、部活後の帰宅が遅くなるとその日の勉強が手付かずになる。結局、どちらも辞めた。灘高という環境の恩恵を、部活という面では十分に享受できなかった。

定期代が高額になる。複数路線の学割定期でも、家計への負担は目に見えてわかった。申し訳なかった。


それでも通い続けた理由

これだけのデメリットがあって、なぜ3年間通い続けたのか。

答えは一つだ。灘高が好きだったからだ。

入試直前期に、実際に同じ時間帯の電車に乗って混雑状況を確認した。「これを毎日続けられるか」と自分に問うた。答えはYesだった。その確認をしてから受験を決めた。

好きでなければ続かない。これは断言できる。親の希望だけで遠い学校を選ばせた場合、12〜13歳の子どもが満員列車に毎日耐え続けるのは難しい。学校選びは、子ども自身が「どうしても行きたい」と思える学校かどうかで決める必要がある。


電車の中を「勉強部屋」に変えた方法

ただ、長距離通学には一つの可能性がある。

毎日確保できる、まとまった「一人の時間」だ。

私は電車の中を最高の勉強部屋にした。片道2時間、往復4時間。年間で計算すると、膨大な時間になる。この時間を活用できるかどうかで、同じ学校に通う生徒との間に大きな差が生まれる。

私が実践していた方法

単語帳・暗記カード——電車の中での暗記が最も効率が良かった。英単語帳、古文単語帳、歴史の一問一答。小さく持ち歩けるものを常にカバンに入れておき、乗車したらすぐ開いた。立っていても使えるコンパクトさが重要だ。

音声学習——ウォークマンに音声を入れて、英語長文を繰り返し聞いた。速読英単語の音声は通学中に何百回と聞いた。耳から英語のリズムを体に入れる訓練として、電車の時間は理想的だった。満員で本が広げられないときも、イヤホン一本あれば学習できた。

問題を頭の中で解く——座れたときは、ノートに問題を書いて解いた。立っているときは、前日に解いた問題の解法を頭の中で再現した。解法を言語化できるか確認する作業は、机より電車の中の方が集中できることもあった。

翌日の計画を立てる——帰りの電車では、今日の復習と明日の計画を立てた。何を間違えたか。明日は何を優先するか。頭を整理する時間として、帰りの電車は特に有効だった。

他の学習者が実践している方法

現在の受験生が取り入れている方法も紹介する。

スマホアプリとの連携——暗記ペンで教材にマークし、専用アプリで読み込んでおくと、スマホ一台で何百ページ分の暗記が持ち歩ける。荷物を減らしたい人に特に効果的だ。Ankiなどのフラッシュカードアプリも電車での暗記に向いている。

音声コンテンツの活用——授業音声の録音、YouTube講義のダウンロード再生、英語ポッドキャスト。耳学習の選択肢は私の頃より格段に増えている。オフライン再生できる状態にしておくことが鉄則だ。

暗記ノートの持ち歩き——苦手な箇所だけをコンパクトなノートにまとめておき、電車で繰り返し見直す。大きな参考書は広げにくいが、自作の暗記ノートなら立っていても使える。

周囲の視線を利用する——電車の中には適度な緊張感がある。「ちゃんとやっている姿を見せたい」という意識が、集中力を高めることがある。自宅より集中できると感じる受験生も多い。


大学でも往復2時間通い、コロナ禍では往復60km自転車通学になった

東大の本郷キャンパスに通いながら、千葉県柏市に住んでいた。往復2時間かかった。

それでも選んだ理由は、自然に近いこと、空気が良いこと、家賃が安いこと、収納と駐輪スペースがあること——これらのメリットが通学時間のデメリットを上回ったからだ。通学時間の長さより、生活の質の方が重要だという判断だ。

2020年にはコロナ対策として自転車通学を始めた。往復60km、3時間。それを半年以上続けた。自分でも呆れる。ただ、あの時間は体力と精神を鍛える以上のものをもたらしてくれた。


学校選びと通学時間:伝えたいこと

片道の通学時間は、2時間が現実的な上限だと思っている。

それ以上になると、デメリットが積み重なる。睡眠が削られ、クラブ活動が難しくなり、体力が消耗する。機会費用を真剣に考えてほしい。往復4時間の学校ではなく往復1時間の学校を選べば、その3時間で何ができるかを。

ただし、一点だけ例外がある。

子ども自身が「どうしても行きたい」と思っている場合だ。そのとき、通学時間は障壁ではなく、通過点になる。私がそうだった。

学校選びは、偏差値でも評判でもなく、子どもが目を輝かせるかどうかで決めてほしい。それだけが、長い通学を乗り越える原動力になる。

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この記事を書いた人

灘高・東大大学院。塾も予備校も使わず、独学だけで合格した。
数学オリンピック2回受賞。

灘受験・中学受験・きのくに。
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