【体験談】予習シリーズで独学する中学受験|小4〜小6の使い方を元講師が解説
「予習シリーズって、塾なしでも使えるの?」
この疑問を持つ保護者の方は多いと思います。
結論から言いますと、使えます。私がそうでした。
私は小4の夏に予習シリーズを取り寄せ、小5の終わりまでほぼ独学で使い続けました。小6で初めて塾に通いましたが、その時点で関西トップクラスの塾でもトップ5%に入れるほどの実力がついていました。そして関西トップ6校すべてに合格しています。
上京後は恩返しの意味も込めて、四谷大塚でお仕事させていただきました。ユーザーとして3年間使い込み、そのあと内側から教材を見た人間として、この記事を書いています。
予習シリーズを独学で使う具体的な方法、学年ごとの進め方、親の関わり方をまとめます。
予習シリーズとは何か
予習シリーズは、四谷大塚が発行する中学受験用テキストです。算数・国語・理科・社会の4教科があり、小4・小5・小6の各学年で上下巻が揃っています。
もともとは塾用教材ですが、一般家庭でも四谷大塚のホームページから購入できます。書店では販売されていませんので、公式サイトからの取り寄せになります。
私がこの教材を特別だと思う理由は、自宅学習を前提とした解説の厚さにあります。先生がいなくても読み進められるよう、例題の解き方が丁寧に書かれています。理科・社会はフルカラーで写真やイラストが豊富で、ページを開くたびに気持ちが上がりました。当時の記憶がはっきりあります。
副教材として「演習問題集」「計算問題集」「漢字とことば」なども存在します。ただし、すべて揃える必要はありません。この点については後述します。
独学に向いている教材かどうか
結論からいうと、予習シリーズは独学に向いています。
塾教材の多くは授業ありきの構成になっており、テキストだけを渡されても何をすればいいかわかりにくいものがあります。予習シリーズはその逆で、テキスト単体で読み進めることを想定して作られています。例題には解き方の流れが丁寧に書かれており、子どもが自分で読んで理解できるようになっています。
私の場合、小4〜小5は基本的に自分でテキストを読み、問題を解いていました。親が採点を手伝ってくれる日もありましたが、解説は自分でテキストを読んで理解していました。親が中学受験の算数を教えられるわけではなかったので、必然的にそうなりました。それでもきちんと力がつきました。
ただし、誤解のないようにお伝えしておくと、「誰でも勝手に伸びる教材」ではありません。使い方によって結果は大きく変わります。
独学で使うときの基本的な進め方
まず揃えるべき教材
最初に揃えるものは、予習シリーズ本冊と演習問題集の2点だけで十分です。
副教材は充実していますが、最初から全部揃えると量に圧倒されて消化不良になります。まずは本冊を中心に進めることが先決です。余裕が出てきたら演習問題集を使う、という順番が理想的です。
教科ごとに少し補足すると、理科・社会は演習問題集がほぼ必須です。本冊だけでは問題量が少ないため、演習量を確保するために必要になります。算数・国語は本冊の完成を優先し、余裕が出たら演習問題集に手を伸ばしてください。
1週間の進め方
予習シリーズは週単位で1単元ずつ学習する構成になっています。塾では「月曜から授業→週末にテスト」というサイクルで使われていますが、自宅学習の場合は自分でサイクルを作ります。
おすすめの流れは次の通りです。
①例題を読む:テキストの例題と解説をゆっくり読みます。解き方をノートに書き写すくらい丁寧に読むのが理想です。「なぜこうなるのか」を理解しないまま先に進まないようにしてください。
②練習問題を自力で解く:例題と同じ解き方で解ける問題が並んでいます。数字が変わっているだけで解法は同じです。自力で解くことが大切で、すぐに解答を見てはいけません。
③間違えた問題を当日中に解き直す:これが最も重要です。間違えた問題は当日中に必ず解き直してください。翌日に回すと内容の多くを忘れてしまいます。
④演習問題集で定着を確認する:本冊の練習問題が終わったら、演習問題集の同単元に取り組みます。問題集は本冊の復習用として機能します。
復習の間隔
間違えた問題の復習は「当日・3日後・1週間後・3週間後」のサイクルで行うのが理想です。ただし、全問を全部やり直す必要はありません。間違えた問題だけに絞ってください。問題番号のそばに学習日と間違えた回数をメモしておくと管理しやすいです。
算数は特に復習が効きます。解法を体に染み込ませることが目的ですから、同じ問題を3〜4回解き直すくらいの気持ちで取り組んでください。
教科別の使い方
算数
予習シリーズで最も力がつくのが算数です。
例題→練習問題の流れを丁寧に繰り返してください。発展問題や応用問題は後回しにして構いません。まずは「基本問題をすべて自力で解ける状態」を目標にすることが合格への近道です。
私が通っていた塾の校舎でトップ5%に入れるほど計算力が上がったのは、毎朝30分の計算特訓を続けたからです。「出る順計算」などの計算問題集を使って、時間を測りながら毎朝取り組むと飛躍的に速くなります。
また、予習シリーズの算数が終わったら、東京出版の問題集(プラスワン・ステップアップ演習など)に進むと演習の幅が広がります。予習シリーズとは異なる切り口の良問が多く、難関校を目指す場合には特に効果的です。
国語
予習シリーズの国語は解説が厚く、読解のポイントが丁寧にまとめられています。読み方のコツを自分で学べる構成です。
漢字は別冊の「漢字とことば」に取り組むと効果的です。毎朝少しずつ習慣化するのが長続きするコツです。
正直に言うと、私は国語が苦手でした。出口先生の参考書も使いましたが、期待ほど伸びませんでした。入試直前期に伸びたのは、過去問演習を重ねたからだと思っています。国語は焦りすぎず、まずは読書と漢字の習慣を地道に続けることが土台になります。小6になっても挽回できる教科ですので、苦手でも悲観しないでください。
理科
理科は予習シリーズが特に秀逸です。フルカラーのイラストと写真が豊富で、読んでいるだけで知識が頭に入ってくる構成になっています。
私は幼い頃から自然と触れ合い、生き物を育て、図鑑で調べるのが日常でした。その経験が理科の基盤になっていたと、いまになって思います。日常生活の中での「なぜ?」という好奇心が、受験の理科に直結します。
問題数が少ないため、演習問題集は必ず用意してください。本冊で知識を入れ、演習問題集で定着させるセットで使うのが基本です。
社会
社会も理科と同じく、演習問題集をセットで使うことをおすすめします。
用語は正確に(漢字も含めて)覚えること、重要年号はゴロでも何でも使って早めに押さえておくことが大切です。私は年号の暗記を後回しにしてしまい、小6になってから大慌てで特訓しました。小5のうちに少しずつ仕込んでおくと、小6以降が楽になります。
学年別の進め方
小4から始める場合
小4夏をめどに、それまでに小学校の基礎範囲(公立の標準レベル)を一通り終えておくと理想的です。私はそのタイミングで予習シリーズを取り寄せました。
小4の内容は難易度が比較的穏やかです。例題→練習問題の流れを丁寧に繰り返すことで、受験の学び方のリズム自体を身につけることができます。最初のうちは「全部やろうとしない」ことが大切です。まず基本問題を確実にこなすことに集中してください。
小5で使う場合
小5は予習シリーズの中でも内容の密度が上がります。算数は「約数・倍数」から始まり、入試に直結する単元が次々と登場します。
小5の終わりまでに予習シリーズ5年の練習問題レベルがスラスラ解けていれば、難関中学には余裕を持って臨めます。これが一つの目安です。
この時期に習い事が多く学習時間が限られている場合は、無理に全部こなそうとせず、本冊の例題と基本問題に絞って丁寧に進めるやり方が現実的です。焦って量をこなすより、理解して定着させることの方が大事です。
小6で使う場合
小6は過去問演習が中心になってきます。予習シリーズは引き続き使いながら、志望校の出題傾向に合わせた演習を並行させていきます。
私は小6になって初めて塾に入りましたが、それまでの予習シリーズ独学で十分な基礎が固まっており、塾の授業にもすぐなじめました。塾に通い始めてからは塾のカリキュラムを最優先しつつ、予習シリーズは復習教材として活用していました。
小6から予習シリーズを始める場合でも遅くはありませんが、5年生の重要単元だけは先に押さえておくことをおすすめします。特に算数は積み上げ式なので、穴があると後で詰まりやすくなります。
親の関わり方
よく聞かれるのが「親が中学受験の算数を教えられないと使えないか」という疑問です。答えはノーです。
私の親は受験算数を教えていません。教材を用意してくれ、環境を整えてくれ、採点を手伝ってくれた。それだけです。解説は私がテキストを読んで自分で理解していました。
親の役割は「教える人」ではなく「環境を作る人」です。具体的には次のようなことです。
教材を揃える:予習シリーズを取り寄せ、学習できる環境を作る。机・椅子・照明など物理的な環境への投資も効いてきます。
丸つけをする:子どもが解いた問題の丸つけを一緒に行う。採点しながら「ここ間違えたね」と一言添えるだけでも十分です。
スケジュールを管理する:週単位のペースが崩れないよう、軽く声をかける。ただし、勉強を強制したり怒ったりすることは逆効果になりやすいです。
一緒に楽しむ:私の父は教材を自分でも解いていました。「父もやってる」という事実が、子どもの勉強意欲を静かに支えてくれます。家族が同じ方向を向いているかどうかは、長い受験勉強において想像以上に大きな意味を持ちます。
学習に対してマイナスの感情を持たないようにすることが、何より大切な親の仕事です。子どもが楽しいと感じながら進められているなら、それだけで十分です。
よくある疑問と答え
Q:小5から始めても間に合いますか?
間に合います。小5、あるいは小5の夏から受験勉強を始めて難関校に合格した例を、私はたくさん知っています。ただし、小4の重要単元(特に算数)が未習の場合は、そこだけ先に補強してから進める方がスムーズです。
Q:進学くらぶ(四谷大塚のオンライン授業)と組み合わせるべきですか?
映像授業があると解説の理解が深まりやすく、特に算数では効果的です。ただし動画を見ていると時間がかかりますので、全科目すべての映像授業を視聴する必要はありません。理解が詰まった単元だけ活用する、という使い方で十分です。
Q:ノートに解くか、裁断してコピーするか、どちらがいいですか?
ノートに解いてください。裁断やコピーは手間も費用もかかります。国語は解答用紙を使うと本番に近い形式で練習できておすすめです。
Q:予習シリーズだけで難関校を狙えますか?
難関校まではカバーできます。最難関(灘・開成など)を目指す場合は、小6以降に東京出版の問題集や過去問演習を加えていくのが王道のルートです。
まとめ
予習シリーズは、独学で中学受験を進める家庭に最もおすすめできる教材です。
ポイントをまとめます。
最初に揃えるのは本冊と演習問題集の2点。週単位で例題→練習問題→解き直しのサイクルを回す。間違えた問題は当日中に解き直す。発展問題より基本問題の完成を優先する。親の役割は「教える」ではなく「環境を作り、一緒に楽しむ」こと。
私が予習シリーズを使っていた頃、ページをめくるのが毎日楽しみでした。理科の図鑑のようなページも、算数の問題を解けた瞬間の達成感も、今でも覚えています。
良い教材は、勉強を好きにさせてくれます。予習シリーズはそういう教材です。
購入は四谷大塚の公式サイトから。アカウント登録が必要ですが、全国の入試問題の閲覧サービスも使えるようになりますので、登録しておいて損はありません。



コメント