雲水修行を始めた|禅とシンプルな暮らしが、勉強と人生を変えた理由

GAKU
灘高・東大大学院卒。塾も予備校も使わず、独学だけで合格した。

その勉強法を、そのまま書いている。
再現性にこだわった情報だけを出す。

灘高受験・東大受験・中学受験・きのくに。
どれも一次情報しか書かない。

掃除をした。

ただそれだけのことなのに、部屋が変わった。空気が変わった。そして不思議なことに、自分の頭の中まで変わった気がした。

それが禅との出会いだった。


目次

禅とは何か

禅は、6世紀に中国で生まれ、日本には鎌倉時代に伝わった仏教の一派だ。臨済宗・曹洞宗・黄檗宗がその代表的な宗派で、座禅・公案・作務(日常作業)を通じて悟りを求める。

他の宗派が念仏を唱えたり経典を読んだりするのとは異なり、禅は「自分の心の中で直接悟ることに重きを置く」。言葉や文字で教えを伝えるのではなく、実践そのものが修行だ。

その哲学の核心は、ひとことで言えばこうだ。

「今、この瞬間に全力で向き合う。」

掃除をするときは掃除だけ。食事をするときは食事だけ。一つひとつの行為に心を込める。余計なことを考えない。それだけのことが、人間の精神を驚くほど研ぎ澄ます。


スティーブ・ジョブズが禅に惹かれた理由

禅は、遠い寺院の中だけの話ではない。

スティーブ・ジョブズは生涯を通じて禅に深く傾倒した。彼の精神的師は、日本人禅僧の乙川弘文(おとがわこうぶん)だった。ジョブズはアップル設立直後、日本の禅寺に入ることを乙川に相談したという。乙川はこう答えた。

「真の仏教徒は必ずしも深山幽谷で座禅を組む必要はない。禅は自己の内面的な修行であり、僧院での生活と企業での生活に大した違いはない。」

この言葉がジョブズをシリコンバレーに留め、アップルを世界的な企業へと育てる一つの契機になった。後にジョブズはこう振り返っている。「禅は私の人生に非常に大きな影響を与えてきました」と。

iPhoneのデザインに見られる極端なまでの無駄の排除、「集中とシンプルさ」という信条は、禅の影響を色濃く反映している。

ジョブズの影響を受け、GoogleやIntel、IBMなどのIT企業も禅や瞑想を社員プログラムに取り入れ始めた。膨大な情報の海に溺れかかっていた知的エリートたちが、禅やマインドフルネスに「情報と自分を統御する術」を見出した。

一人の禅僧との対話が、現代テクノロジーの形を変えた。そう言っても過言ではないだろう。


なぜ私は禅を始めたのか

11月のある夜、禅の本を開いた。教養として宗教の基礎知識を深めたいという軽い動機だった。

ところが、読み進めるうちに感覚が変わってきた。「これは知識ではない。実践だ。」そう思った。

当時、精神鍛錬を年間目標の一つに掲げていた。様々な出来事に振り回される自分に気づいていた。まだまだ精神を鍛える必要がある。そう感じていたとき、禅の思想が心にするりと入ってきた。

禅宗の修行僧を「雲水」という。雲のように定まらず、水のように流れ続けながら修行する姿から来た言葉だ。私はその言葉を借り、自らを「雲水」と名乗ることにした。寺に入るわけでも、正式な作法を習うわけでもない。ただ、禅の理念を軸に、自分なりの修行を始めることにした。


雲水修行の理念

修行と言っても堅苦しいことは何もない。私が定めた理念はこの三つだ。

当たり前のことを、当たり前のようにする。毎日を丁寧に暮らす。所作を美しくする。

自分の欲を絶って、シンプルでスッキリした生活を心がける。ただそれだけだ。しかしこれが想像以上に難しく、そして想像以上の効果をもたらした。


実際にやっていること

日の出前に起きる。起床時刻は厳守だ。カーテンを開け、窓を全開にして外の空気を入れる。懸垂を100回。その後、10分の掃除。これを毎朝欠かさない。

朝食は炭水化物を減らし、野菜と果物を増やした。上質な器を使う。「いただきます」を心を込めて言う。食べるときは食べることだけに集中する。

日中

所作を美しくする、ということを常に意識する。歩き方、物の置き方、人との話し方。陰徳を積む。食事は腹八分目に抑える。

帰宅後

靴を脱ぐとき、かかとを丁寧に揃える。すぐに裸足になる。窓を開ける。カバンの中身を全て取り出す。机の上は寝る前に必ず片付け、何も置かない状態にする。就寝前に翌日の予定を書き出す。寝る直前に「ありがとう」と声に出す。

これだけだ。どれも取るに足りないことに見えるかもしれない。でも、これを毎日絶対に続けるのは難しい。徹底することで、精神は確実に変わっていく。


随想より

私は毎日、「随想」というファイルに文章を書き続けている。そこには、自分のものの考え方や信念、日々思うことが積み重なっている。禅を始めた頃の一節を引用する。

禅のことを知らないのに、日々を一生懸命に丁寧に生きている人の存在に、ふと気づくのだ。彼らは、どのようにして、そのような人になったのか。もとから、仏だったのだろうか。私は、彼らを尊敬するし、近づきたいと思う。

そして、あらためて禅に感謝するのである。

今でも、この感覚は変わらない。


禅が勉強に与える影響

禅と勉強は、一見関係がないように見える。でも僕はそうは思わない。

部屋が整っていると、頭が整う。朝のルーティンが乱れると、集中力が乱れる。食事を丁寧にとると、午後の頭の働きが変わる。これは体感として確かなことだ。

禅の本質は「今この瞬間に全力で向き合うこと」だ。問題集を開いたら問題集だけ。参考書を読んでいるときは参考書だけ。スマホを触りながら、音楽を聴きながら、半分の力で勉強する時間は、ゼロと同じだ。

禅が勉強を効率化するのではない。禅が、全力で向き合える人間を作るのだ。


シンプルに生きることへ

余分なものを手放すと、残るものが見えてくる。

時間も、部屋も、思考も、同じだ。余分なことに使う時間を削ると、本当に大切なことに向き合える時間が増える。ジョブズが禅に惹かれたのも、シンプルさの中にある強さを感じ取ったからではないかと思っている。

私が雲水修行を続けるのは、習慣だからではない。続けることで、少しずつ自分が変わっていくのがわかるからだ。

掃除をする。窓を開ける。靴を揃える。ありがとうと言う。

ただそれだけのことが、1年後の自分を作っている。

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この記事を書いた人

灘高・東大大学院。塾も予備校も使わず、独学だけで合格した。
数学オリンピック2回受賞。

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