【元在籍者が本音で解説】きのくに子どもの村学園のデメリット7つ|入学前に知っておきたい現実

GAKU
灘高・東大大学院卒。塾も予備校も使わず、独学だけで合格した。

その勉強法を、そのまま書いている。
再現性にこだわった情報だけを出す。

灘高受験・東大受験・中学受験・きのくに。
どれも一次情報しか書かない。

目次

はじめに:この記事を書いた理由

「きのくに子どもの村学園 デメリット」で検索している保護者に、正直に話したいことがある。

僕はきのくに子どもの村学園に実際に在籍し、その後転校した。「きのくに→公立小→私立中高一貫→灘高→東大」という経歴を持つ、おそらく日本でも珍しい立場の人間だ。

この記事は批判ではない。きのくには本当に素晴らしい学校だと今でも思っている。だからこそ、入学前に知っておくべき現実を正直に書く。

「こんなはずじゃなかった」という後悔を、一家庭でも減らしたいからだ。


きのくに子どもの村学園とは

和歌山県橋本市の山奥にある私立小中学校だ。「日本一自由な学校」として知られ、全国に姉妹校がある。

教育の柱は三つ——自己決定・個性化・体験学習。時間割の半分は「プロジェクト」と呼ばれる体験活動で、子どもと大人が話し合いながら学校生活を作っていく。

父が書店で手にとった一冊の本がきっかけで、我が家はきのくにを知った。学園長の堀真一郎さんが書いた本だ。父はすぐに共感し、転入を決めた。

母は現実的だった。学費と寮費が家計を圧迫すること、一人息子の顔を毎日見られなくなること——その二つを強く心配した。その懸念は、後に現実になった。


デメリット① いったん入ったら、辞めるのが難しくなる

子どもは辞めたがらない。断言できる。

きのくには、子どもにとって理想の世界だ。自分たちで行き先を決め、テーマを決め、活動を作っていく。宿泊遠足の行き先も、地域の観光パンフレットを広げながら子どもたちが話し合って決める。「どこに行くか」「何をテーマにするか」——全て自分たちの手の中にある。

そういう環境に慣れると、親の都合で「辞める」という決定が、子どもには受け入れがたいものになる。

僕自身も辞めたくなかった。「このままずっとここにいられたら」と思っていた。

転入・転校を検討する際は、「辞める時のこと」まで考えておく必要がある。入学前に出口を想定しておくことは、無責任ではなく誠実さだ。


デメリット② 親の精神的負担が想像以上に大きい

子どもには覚悟は必要ない。きのくにの生活が楽しすぎて、寂しさを感じる余裕がないからだ。

僕も寂しさはほとんど感じなかった。毎日が新鮮で強烈で、あっという間に過ぎていった。

覚悟が必要なのは、親の方だ。

週末に実家へ帰るたびに、父と母の表情が変わっていった。僕の前では笑顔を作ってくれていたが、それが無理に作った表情だとわかった。ふとした瞬間に、言葉では表せないほど悲しそうな顔をしていた。

「元気な息子の顔を、週に2日しか見られない」——その重さが、半年で限界を超えた。

一人っ子の家庭は特に注意してほしい。子どもが楽しめば楽しむほど、親の寂しさは深くなることがある。


デメリット③ 経済的負担は小さくない

入学金だけではない。

授業料、寮費、週末の帰省交通費——全てを合わせると、公立小学校と比べると大きな差がある。我が家は裕福とは程遠い家庭で、費用の捻出は家計に相当な負担をかけた。

詳しい費用については別記事にまとめている。入学を検討する前に必ず確認してほしい。

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デメリット④ 「一般的な学力」は家庭の関与が重要になる

きのくにには、計算ドリルも漢字ドリルも宿題もない。

全ての学習は体験の中にある。かまどを作ってご飯を炊く。地域の郷土料理を地元のおばあちゃんから教わる。山から粘土を取ってきてゼロからかまどを作る。めはり寿司をアレンジしてオリジナルの商品を作る——。

これは「生きた学習」だ。教科書では絶対に得られない学びだ。

ただし、裏返せば「一般的な学力テストで測られる力」は、きのくににいる間は伸びない。

僕自身がそうだった。

きのくに転校前は上位の成績だった。半年後に公立小学校に戻ったとき、計算ができなかった。漢字が読めなかった。学力テストの結果はクラスの底辺だった。

ただ、これは一時的なものだった。家で猛烈に特訓して、数ヶ月でクラストップになった。きのくにで培った「自分で考えて動く力」が、勉強にも働いた。

学力面のギャップは、家庭の関与次第で埋められる。 ただ、転校直後に落差があることは覚悟しておいてほしい。


デメリット⑤ 「自由な世界」への耐性が、現実社会とのギャップになることがある

きのくには特殊な環境だ。全員が主体的に動く。少人数だから関係が壊れにくい。陰湿ないじめや学級崩壊とは無縁の世界だ。

僕が通った地元の公立小学校は、対極にあった。学級が荒れていた。授業が成立しないことがあった。先生が突然授業を放棄することすらあった。

きのくにで「みんなが主体的に動く環境」に慣れた後に、そういう現実に直面したとき、違和感とストレスは相当なものになる。

きのくにとのギャップで特に辛かったのは、「全て先生が決めて、それに従わなければならない」という構造だった。きのくにでは子どもの意見が優先的に採用される。自分たちで動ける。その経験の後に、「黙って従う」ことだけを求められる環境に入ると、「僕たちの時代じゃない」という違和感が生まれやすい。

これは「きのくにが悪い」という話ではない。教育文化の違いだ。ただ、その違いへの適応に時間がかかることは、事前に知っておいてほしい。


デメリット⑥ 「自由」には責任が伴う——それが想像以上に重い

きのくにの「自由」は、好き放題という意味ではない。

自分たちで決めたことは、自分たちで責任を持つ。宿泊遠足の行き先を自分たちで決めたなら、その活動がうまくいかなかったとき、責任も自分たちにある。話し合いで決めたことが途中で遂行できなくなったとき、それは「自分たちの責任」として返ってくる。

これは重要な経験だと今でも思う。ただ、「責任を取る」という感覚に慣れていない子には、最初は重く感じることもある。

「自由な学校だから楽しそう」というイメージだけで入学を決めると、ここでギャップが生まれやすい。


デメリット⑦ 子どもとの相性によって、評価が180度変わる

これが最も重要なデメリットだ。

きのくには万人向けの学校ではない。

在籍中、周りを見ていて「この子は辛そうだな」と感じた場面があった。塞ぎ込んで誰とも話したがらない子、すぐに親に電話したくなる子——そういう子には、きのくにの環境は重荷になることがある。

一方、合う子にとっては人生を変えるほどの環境になる。


きのくにに「合う子・合わない子」

正直に書く。

合いやすい子

  • 初対面でも自分から話せる(社交的である必要はないが、時間をかけてでも人と関われる)
  • 決まった「お勉強」より、体験や発見に興味がある
  • 失敗しても自分で立て直そうとする
  • 少人数の濃い人間関係が苦にならない

合いにくい子

  • 計算ドリルや漢字練習のような積み上げ型の学習習慣をつけたい
  • 一人の時間を大切にしたい・人との関わりに疲れやすい
  • 辛いことがあるとすぐに親に頼りたくなる
  • 集団行動のルールや規律の中で安心できる

合いやすい家庭

  • 子どもの主体性を最優先にしたい
  • テストの点数や偏差値を最優先にしない
  • 長期的な人間形成を重視している
  • 親自身がきのくにの教育理念に共感している

合いにくい家庭

  • 中学受験を最優先したい
  • 学校にすべて任せたい(家庭の関与を最小限にしたい)
  • 経済的な余裕が十分でない
  • 子どもと離れることへの不安が大きい

よくある誤解

「自由=放任」ではない

きのくにでは、むしろ「自分たちで考えて動く」ことが日常的に求められる。放任とは正反対だ。

「学力がつかない学校」ではない

一般的なドリル型の学力は伸びにくい。ただし、「深く考える力」「自分で調べる力」「人と協力する力」は確実に育まれる。転校後のギャップは家庭の関与で埋められる。僕がその証拠だ。

「変わった子の学校」ではない

在籍中の子どもたちは普通の子どもたちだ。ただ、主体的に動くことが当たり前の環境にいるから、外から見ると「変わって見える」だけだ。


元在籍者としての結論

20年以上経った今でも、きのくにでの半年間は人生の財産だったと思っている。

かまどで炊いたご飯の味。めはり寿司を作った古民家の台所の匂い。自分たちで決めた行き先へ向かうバスの中の興奮。あの体験は、どんな教科書でも得られないものだった。

同時に、我が家が経験した「親の精神的限界」「学費の重さ」「転校後の学力ギャップ」も現実だった。

きのくには最高の学校だ。でも、誰にでも合う学校ではない。

入学前にこの記事を読んで、「それでも行きたい」と思えた家庭なら、きっと素晴らしい経験ができると思う。まずは見学に行ってほしい。子どもたちの表情を見れば、答えは出るはずだ。


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きのくに子どもの村学園 | 独学で灘・東大へ きのくに子どもの村学園に、私は小学1年生のときに在籍した。 全寮制・自由教育・プロジェクト学習という特殊な環境で過ごした半年間は、その後の灘高・東大への道を考える...
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この記事を書いた人

灘高・東大大学院。塾も予備校も使わず、独学だけで合格した。
数学オリンピック2回受賞。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 【 半農半Xって知ってますか? 自給自足に関してのつながりやお話しできます♡】

    はじめまして。
    違うきのくにの記事が出てきて。
    がくさんのこちらのページに出会えました♡
    どうもありがとうございます。

    いま、子どもが年中で、最近きのくにという名前を何人かから聴いたことと
    今、住んでいる場所から通学で、きのくにに通える範囲に住んでいることもあり、
    入学を検討しはじめているものです。
    世界中の叡智やインナーテクノロジーに触れることが好きで好奇心旺盛な母です。笑

    がくさんが、自給自足に興味があるとのことだったので。
    夫が参考になる話ができるかもなーと思って。
    コメントしています。

    私自身は、老後になったら自給自足してみたいな♡と、
    ぼや〜と考えていました。

    が、夫となったひとが
    半農半Xなライフスタイルを送っていました。

    おかげさまで、
    30代で、自給自足⇨ 半農半Xの世界が堪能できて、
    総じてとっても面白いです。
    わたしも今年、起業します。既に起業しています?!

    正木たかしさんの考えや本も面白いかもしれません。
    正木さんのお写真が掲載されているブログを今みつけました。
    http://as-one.main.jp/sb/log/eid694.html

    福岡県に住んでいます。
    zoomでも、直接いらっしゃるのでも、
    夫とわたしで対応しますので、
    ご興味湧けばご連絡ください。

    • お便り嬉しく拝読いたしました。

      ご夫婦で素晴らしい行動力をお持ちですね。ご自身のお気持ちに正直に人生を歩まれている姿をお聞きし、私も励みになります。これから起業なさるとのこと、応援しております。私は小さな教室を開いたばかりで、子どもたちと一緒に楽しく学んでいます。

      正木高志さんの著書もご紹介くださり、感謝申し上げます。
      自給自足につきましても、このさき現実味を帯びてきましたら、是非ともご連絡させていただきたく思います。
      その際はどうぞよろしくお願いいたします。

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